週間ASEAN経済ニュースまとめ 10月19日〜10月25日
対象期間 2026年10月19日〜10月25日/掲載 142本
この1週間の東南アジアは、資金流入と通貨・金融政策の綱引きが同時に進んだ。インドネシアでは株式市場の格下げ観測が広がり、海外投資家336社が金融庁(日本の金融庁に相当するインドネシアの金融監督当局)に説明を求める事態となった一方、Nvidiaのデータセンター投資検討など大型案件も相次いだ。フィリピンではペソが最安値を更新し中央銀行が利上げを重ねたのに対し、マレーシアやベトナムは成長率や格付けで好材料が目立った。地域全体として、通貨防衛とインフレ対応、成長加速という異なる局面が国ごとに並行して進んだ週だった。
資金の動きでは、米半導体大手Nvidiaがインドネシアのバタムでデータセンターへ45億ドル規模の投資を検討していることが明らかになったほか、CATLの電池工場が西ジャワで竣工間近となった。ベトナムの複合企業Vingroup(ベトナム最大の民間複合企業。EVのVinFastを傘下に持つ)はフィリピンに5億ドルを投じるEV工場建設を発表し、三菱商事はフィリピンのAyala Corporationへ44.5億ペソを追加出資した。タイではネスレが230億バーツを投じる新コーヒー工場が起工し、シンガポールのGICは英PHPと合弁で5億ポンド規模の資金調達を進めるなど、インフラ・製造・金融の各分野で大型案件が並んだ。
政策面では、フィリピン中央銀行(フィリピンの中央銀行)が年4回目となる利上げで政策金利を5.5%とし、インフレとペソ安への対応を強めた。対照的にベトナム国家銀行(ベトナムの中央銀行。銀行監督も担う)は預金金利を0.5%以上、貸出金利を1.5~2%引き下げるよう金融機関に要請し、内需支援に動いた。タイは輸入EV完成車の物品税を10%から30%以上へ引き上げる方針を示す一方、暗号資産ETFの組成を認める規則を公布した。インドネシア中銀は預金ファシリティ金利を0.25%引き上げて5%とし、政策金利は5.75%で据え置いた。
国別では明暗が分かれた。マレーシアは第3四半期のGDP成長率が前年比5.3%、年初9カ月累計で5.5%と通年予測を上回る勢いを見せ、ベトナムも1~9月の成長率が9%に達し格付け会社Rから格上げを受けた。一方インドネシアは株式市場の格下げ観測にさらされ、フィリピンはペソが63.52ペソまで下落し過去最安値を更新した。タイは政府がGDP成長率予測2.1%の算出根拠の再検証を指示するなど、成長の実像をめぐる議論が続いた。
日本関連では、トヨタがタイの洪水被災従業員へ1人1万バーツを支給し停止していた3工場を再開させたほか、ホンダと三菱自動車がピックアップトラックの共同開発で覚書を結んだ。三菱商事はフィリピンのAyalaへの出資を拡大し、JICAはベトナムへ890億円のODA融資を実行した。高知県の企業はマレーシアのハラル展示会に出展するなど、自動車・商社・地方企業それぞれの形で東南アジア事業が動いた週となった。
今週の注目
- インドネシア Nvidia、インドネシア・バタムで45億ドル投資検討 — インドネシア最大級、半導体大手の45億ドル投資検討という規模が目を引く
- ベトナム ベトナム・米通商協定、交渉7回で大筋合意へ 技術論点のみ残す — 7回の交渉を経て大筋合意、ベトナムの対米輸出環境を左右する節目
- インドネシア インドネシア成長率5.45%でも「時限爆弾」、NYT報道にMSCI協議 — 海外投資家336社が説明要求、地域市場全体に波及しかねない懸念
- フィリピン フィリピン中銀、政策金利50bp引き上げ5.5%に — 年4回目の利上げでもペソ安止まらず、通貨防衛の難しさが露呈
- タイ ホンダと三菱自動車、タイで新型車共同開発 2028年ASEAN投入 — ホンダと三菱がピックアップ共同開発、タイの生産体制再編に直結
- フィリピン フィリピン:三菱商事がAyalaに44.5億ペソ追加出資 — 三菱商事がフィリピン最大財閥への関与をさらに強化する動き
国・地域別
インドネシア(25本)
インドネシアでは株式市場の格下げ観測が焦点となり、金融庁は海外投資家336社から対応方針の説明を求められた。財務省は格下げで財政赤字が734.3兆ルピアに拡大する恐れを示した。一方でNvidiaはバタムで45億ドルのデータセンター投資を検討し、シンガポール向け天然ガス輸出は削減された。
- インドネシア、バンテン州に3基・1.2万m³のアスファルトタンク新設
- インドネシア、シンガポール向けガス輸出31BBTUD削減
- インドネシア金融庁、MSCI懸念受け市場改革継続表明
- インドネシア、経済特区25カ所で成長率1%寄与を2027年目標に
- インドネシア、ダナンタラが香港ジャーディンと投資拡大協議 300億ドル誘致目指す
- インドネシア鉱業許可5件、埋蔵量5400兆ルピア(約47兆3705億円)
- インドネシア、労働集約型産業に金利5%補助 融資上限10億ルピア
- インドネシア市場格下げ懸念、海外投資家336社がOJKに対応説明要求
- インドネシア原発、候補地28カ所選定 2034年稼働目標
- インドネシア、汚職罪定義見直しへ 4項目を大統領に提言
ベトナム(21本)
ベトナムは米国との通商協定交渉を7回重ねて大筋合意に達し、技術論点を残すのみとなった。格付け会社Rは外貨建て格付けをBBB-に引き上げ、1~9月の成長率は9%に達した。一方で中銀は預金金利0.5%以上、貸出金利1.5~2%の引き下げを金融機関に要請し、内需下支えに動いた。
- ベトナム、R IがBBB-に格上げ 1~9月成長率9%
- ベトナム・タイニン省、対日投資14億ドル実績で東京説明会
- ベトナム、国際金融センター準備完了へ 11月に初取引目標
- ベトナムで鉄道貨物駅開発、Hateco等が35億ドル投資計画
- ベトナム、土地・住宅・不動産3法案を国会審議
- ベトナム・カイメップ港に15500TEU級LNG船が初入港
- ベトナム34省市のうち17が第3四半期2桁成長
- ベトナムへJICAが890億円のODA融資、新成長モデル移行を支援
- ベトナムNovaland、8007億ドン増資で債務再編へ
- ベトナム、貿易額年内に1兆ドル突破へ 首相表明
タイ(27本)
タイは米国との関税協定署名を11月に控え、トランプ大統領がアヌティン首相に親書を送った。一方で輸入EV完成車の物品税を10%から30%以上に引き上げる方針を示し、2027年1月実施を目指す。アヌティン首相は政府のGDP成長率予測2.1%の算出根拠の再検証を指示し、上振れの可能性に言及した。
- タイ首相、GDP予測2.1%の再検証指示 外資30%増受け上振れ視野
- タイのいすゞ、204馬力の新2.2ターボ搭載D-MAX/MU-X発売
- タイで外資971社認可、投資額271億バーツ 不正地所有の調査強化
- タイ首相、GDP成長率2.1%予想を上回ると表明
- タイCPF、サプライヤー5500社にAI活用支援を発表
- タイ財務相、2027年に向け経済リスク5要因を提示し財政規律強調
- ホンダと三菱自動車、タイで新型車共同開発 2028年ASEAN投入
- タイ衣料品輸出、EU向け5年で20〜57%増見込み
- タイ、燃料油基金の拠出・補助金率改定 軽油補助2.88バーツ
- タイ洪水被害、トヨタが従業員に1万バーツ支援 3工場操業再開
フィリピン(21本)
フィリピンでは通貨ペソが対ドルで63.52ペソの過去最安値を更新し、中央銀行は年4回目となる0.5%の利上げで政策金利を5.5%とした。一方、PEZAの投資承認額は3096億ペソと年間目標を超過し、三菱商事はAyala Corporationへ44.5億ペソを追加出資した。
- フィリピン格付けA-据え置き、インフラ投資GDP比4%予測
- フィリピンのネット利用者9590万人、生成AIは世界32.4億人に
- フィリピン新産業拠点、投資最大700億ドルに学者懸念
- フィリピン紫芋農家1.25万人、米が3410万ドル支援
- フィリピンペソ最安値63.52ペソ、中銀は0.5%利上げ
- フィリピン、AIIBに融資柔軟化要請 理事12人の一国として
- フィリピンPEZA、投資承認3096億ペソで年間目標超過
- フィリピン中銀、政策金利50bp引き上げ5.5%に
- フィリピン財務省、JBICと協力覚書更新 有効期間3年でインフラ投資後押し
- フィリピン:三菱商事がAyalaに44.5億ペソ追加出資
マレーシア(23本)
マレーシアは第3四半期のGDP成長率が前年比5.3%となり、年初9カ月累計では5.5%に達して通年予測を上回る勢いを見せた。一方でCTOSの株価は44%下落し、年金基金EPFなどが保有株を削減した。東海岸鉄道(マレーシア東海岸と西海岸を結ぶ建設中の鉄道)は完成率98.16%に達し、12月12日の商業運行開始が決まった。
- マレーシア、世界最大投資家が500億ドル投資提案 AI・データセンター向け
- Astro、ブロードバンド事業をMaxis傘下に8300万リンギで売却へ マレーシア
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- マレーシア ジョホール州DC電力、2031年に全体の18%消費と警告
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- マレーシア、2030年までにAI関連雇用30万人創出目標
- マレーシア東海岸鉄道、完成98.16%で12月12日商業運行開始
シンガポール(25本)
シンガポールでは8月の非石油地場輸出(シンガポールの景気を映す主要な輸出統計)が前年比46.2%増と急伸し、AI関連の電子部品需要の強さを示した。国家賃金審議会は月給2800Sドル以下の労働者に6~8%の賃上げを勧告した。一方で森林火災による越境煙害問題が深刻化し、環境庁は企業7社に是正命令を出し、被害額は最大39億Sドルに上るとした。
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- GIC・テマセク、インドネシア株格下げ圧力説を否定
出典
本記事は東南アジア経済新聞が2026年10月19日〜10月25日に掲載した記事のまとめです。個別の出典は各記事に記載しています。

