シンガポール電力需要、今後10年で年2.9〜6.5%増加の見通し
シンガポールのエネルギー市場庁とSP Groupは、データセンターやEV増加による電力需要拡大に備え、長期需要計画と送電網増強、電源多様化を進めている。
シンガポールのエネルギー市場庁(EMA)と送配電会社SP Groupは、JTC Corporation(産業用地開発などを担う政府機関)やEconomic Development Board(経済開発庁)と連携し、今後10年間で年2.9〜6.5%の伸びが見込まれる電力需要に対応するための長期計画を進めている。背景にはデータセンターの急増や先端製造施設、電気自動車(EV)の普及拡大がある。国内には現在約70カ所のデータセンターが稼働している。EMAとSP Groupは、需要がどこで、いつ発生するかを事前に把握し、送電網の増強や電源の多様化を進める方針。2026年10月22日に関連取材が行われた。
EVは2025年時点で国内自動車保有台数の7.4%にあたる49262台に達し、前年2024年の4%から急増した。送電網では太陽光パネルを備えた建物が電力を受け取るだけでなく系統側へ送り返す双方向の仕組みが広がっているとSP Groupの資産計画・戦略担当副社長クエック・スウィーシェン氏は説明する。同氏は「容量の多寡だけでなく、需要がどこで、いつ生じるかを把握することが重要」と述べ、シンガポールの電力網を「世界で最も信頼性の高い網の一つ」とした。EMAのアシスタント・チーフ・エグゼクティブ、ユージン・トー氏は、エネルギー源の多様化と強靭性の確保のため各国との連携を続ける必要があると述べた。また、再生可能エネルギーの導入は電気料金への「押し下げ圧力」になるとした。埋立地プラウ・テコン(200ヘクタール、セントーサ島の約40%の面積)でのエネルギーインフラ集積地の調査について、2027年半ばにコンサルタントを選定し、調査期間は2年を見込む。ASEANは2045年までに域内連系電力網の構築を目標としている。
背景
シンガポールの電力網は、太陽光発電や蓄電池システム(太陽光などで起こした電力をためる設備)など複数の電源からの供給が加わり、発電所からの一方向の流れが変化しつつある。1990年代には年間平均で最大30分の停電が起こり得たが、現在の停電時間は秒単位にまで短縮されている。
日本企業への含意
データセンター関連機器や蓄電池システム、送配電設備を手がける日本企業にとって、シンガポールの電源多様化・送電網増強計画は商機となる可能性がある。EV充電インフラや双方向給電対応機器の需要も拡大が見込まれ、現地事業者との協業やプラウ・テコンの新インフラ集積地への参画機会を注視する必要がある。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.72円 / 1000VND=6.12円 / 1THB=4.71円 / 1PHP=2.50円 / 1MYR=38.74円 / 1SGD=123.75円 / 1USD=158.10円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

