週間ASEAN経済ニュースまとめ 10月26日〜11月1日
対象期間 2026年10月26日〜11月1日/掲載 151本
10月26日から11月1日の東南アジアでは、エネルギーと通貨をめぐる不安定さが各国で表面化した一週間だった。タイでは洪水によりトヨタの工場3カ所が操業停止した一方、輸出は27カ月連続のプラス成長を記録した。インドネシアはシンガポール向け天然ガス供給を削減しIEAが懸念を示し、フィリピンではペソが過去最安値を付けた後に反発した。ベトナムは世界銀行が成長率を7.4%に上方修正し堅調さを見せ、マレーシアとシンガポールはAIやエネルギー分野への投資を相次いで打ち出した。
資金の動きでは、タイのPTTGCとSCGCが石油化学事業を統合し評価額1865億バーツの合弁会社を設立すると発表した。インドネシアではアンタムとIBC、中国CBLがEV電池の統合エコシステムに59億ドルを投じる。マレーシアは政府がAI関連投資500億ドル規模の方針を示し、素材企業Vertex MaterialsはNASDAQ上場で評価額70億ドルを目指す。フィリピンでは三菱商事がアヤラ株式を200億ペソでTOBし、日本の東京建物はプーケットでホテル合弁を組んだ。
政策面ではタイ中央銀行(タイの中央銀行)が政策金利を1.00%に据え置きつつ家計債務抑制5措置を打ち出し、2026年GDP予測を2.4%に引き上げた。インドネシア中銀は預金準備率を9%から7%へ引き下げ、同国政府は11月9日からデジタル課税を開始する。フィリピン中銀は政策金利を5.5%に引き上げ、2027年初頭までの追加利上げを示唆した。シンガポールは法定定年を65歳、再雇用を70歳へ引き上げる改革を2029年に施行すると発表した。
国別では明暗が分かれた。タイは輸出が24%増と好調な一方、観光客減少とホテル廃業42%増に直面した。インドネシアは失業率が4.65%と改善したが、ガス供給問題とルピア下落懸念が影を落とす。ベトナムは成長率上方修正と貿易拡大で堅調さを保った。フィリピンはペソ急落と国家債務の過去最高更新に見舞われ、マレーシアはAI投資拡大の一方でBinanceへのサイバー攻撃被害63億ドルが発覚した。シンガポールは解雇者数が2020年以来最多となり雇用不安も浮上した。
日本企業にとっては、サプライチェーンと投資継続の両面が意識された週だった。トヨタはタイ洪水で工場3カ所が停止し、日本車5社は中国勢に対抗し新車開発期間の短縮に動いた。三菱商事はフィリピンのアヤラ株式をTOBで追加取得し、JERAはAboitizPowerへの支援継続を表明した。東京ガスはフィリピンのLNG事業拡大を検討し、東京建物はタイでホテル合弁に参画した。一方でフィリピンの資源入札新規則には日系団体から資産没収条項への懸念も示された。
今週の注目
- タイ タイ洪水でトヨタ工場3カ所停止、政府に税制支援を要請 — タイ洪水でトヨタ工場停止、日系サプライチェーンへの影響が直接的
- シンガポール 日本車5社、新車開発4~5年を短縮 中国勢「2年未満」に対抗 — 日本車5社が開発期間短縮に動く、中国勢との競争構図の転換点
- フィリピン フィリピン アヤラ株、三菱商事が200億ペソでTOB実施へ — 三菱商事がアヤラ株TOB、日系大型出資案件として注目度高い
- タイ タイPTTGCとSCGC、石化事業統合 評価額1865億バーツ — タイ石化2社統合、評価額1865億バーツの域内最大級再編
- インドネシア インドネシア、EV電池統合事業に59億ドル投資へ — インドネシアEV電池に59億ドル、下流化戦略の大型投資
- フィリピン フィリピン、ペソ急反発 1ドル64.025ペソ 大統領が為替防衛表明 — フィリピンペソ急反発、大統領の為替防衛発言が市場に影響
国・地域別
インドネシア(25本)
インドネシアはシンガポール向け天然ガス供給を日量31億BTU削減し、IEAが信頼性への懸念を表明した。デジタル課税は11月9日に開始し税収比率18%を目指す。中銀は預金準備率を9%から7%へ引き下げ、金融緩和も同時に進めた。
- インドネシア、1ドル=22000ルピアの恐れ MSCI決定で資本市場に警鐘
- インドネシア銀行、9月期純利益107%増の870億ルピア
- インドネシア金融庁、DSSA株操作で親会社に1.5兆ルピア制裁金
- インドネシア・バクリー ブラザーズ、26年7-9月期純収益55%増
- インドネシア、2027年の税優遇632兆ルピア規模に
- インドネシア国家戦略事業250件完了、2026年までに10件目標
- インドネシアWIKA、26年Q3売上15.8兆ルピア 11.9%増
- インドネシアPLN新社長にスロソ氏、太陽光100GW推進
- インドネシア、デジタル課税26年11月9日開始 税収比率18%目標
- インドネシア証券取引所、史上初配当1.56兆ルピア決定
ベトナム(21本)
世界銀行がベトナムの2026年成長率を7.4%に上方修正した。首相は貿易総額が1.11兆ドル、前年比30.4%増になるとの見通しを示した。一方でホーチミン証券取引所では外国人投資家が10月に9.3億ドルを売り越し、20営業日連続となった。
- ベトナム、カントー橋2期建設に27兆ドン投資を承認
- ベトナム株、外国人10月に9.3億ドル売り越し 20営業日連続
- ベトナム物流、空車率最大70%で2027年にデジタル輸送取引所構想
- ベトナムEC、1~9月売上44.47%増の441.97兆ドン
- ベトナム、54km高速鉄道を2029年開業へ 建設範囲拡大
- ベトナム・ホーチミン市、10拠点で物流網整備 自由貿易区4165ha新設
- ベトナム・タイグエン省、1700万ドルの港湾着工 2027年稼働目標
- ベトナム物流費GDP比16~17% 2030年までに拠点5カ所整備
- ベトナムVinhomes、9ヶ月純利益390%増の7兆5059億ドン
- ベトナム・ビングループ、9カ月純利益43.7兆ドン 前年比6倍
タイ(28本)
タイ中央銀行は政策金利を1.00%に据え置き、2026年GDP成長率予測を2.4%に上方修正した。9月の輸出は384億ドルで前年比24%増、27カ月連続のプラス成長となった。一方で洪水によりトヨタの工場3カ所が操業停止し、訪タイ観光客も減少した。
- タイ9月の国境・越境貿易50.8%増 2209億バーツに
- タイSME連盟、22年続く石油価格「シンガポール連動」見直し要求
- スズキ、タイで新型EV「eVITARA」公開 価格289万バーツ
- タイ・プーケットに客室175室の新ホテル、日本の東京建物が合弁参画
- タイ、農家所得底上げへ新戦略 地域資源70%活用を条件化
- タイ9月輸出24%増、外国人観光客10.5%減少
- タイ民間投資9月21.6%増、20年ぶり高水準 観光客は3200万人に下方修正
- タイ中銀、家計債務抑制5措置 BNPL上限2万バーツに
- タイ、11月1日からSNS広告に本人確認義務化「No ID, No Ads」
- タイSCG、1〜9月期Adjusted Cash EBITDA19%増 GCと石化統合へ
フィリピン(29本)
フィリピンペソは過去最安値から反発し、1ドル64.025ペソで引けた。マルコス大統領は為替防衛を表明した。一方で国家債務は19.66兆ペソと過去最高を更新し、9月の貿易赤字も51.5億ドルに拡大した。
- フィリピン、9月貿易赤字51.5億ドルに拡大 輸出5年ぶり高成長率
- フィリピン資源入札新規則2026-01号、日系団体が資産没収条項に懸念表明
- フィリピン、620MW原発民営化に議員反対 国有維持を要求
- フィリピン国家債務19.66兆ペソ、過去最高を更新
- ASEAN電力網、フィリピンなど4カ国が海底送電協議 2027年60周年目標
- フィリピンDoubleDragon、純利益253%増の39億ペソ
- フィリピン、ADBから約1.5億ドル融資 中東危機に対応
- フィリピン中銀、10月物価上昇率7.1〜8.1%と予測
- フィリピン電力アボイツ、9カ月純利益262億ペソで13%増
- フィリピン、MVPが1200億ペソでNLEX高架道路建設へ
マレーシア(23本)
世界最大の仮想通貨取引所Binanceがサイバー攻撃を受け、被害額は63億ドル(リンギ換算257億リンギ)に上った。同時期にZetrix AIでは取締役7人中4人が辞任し監査委員会が機能不全となった。一方でマレーシア政府はAI関連投資500億ドル規模の方針も示した。
- マレーシア航空、予約大手Amadeusで情報流出の恐れ
- マレーシアZetrix AI、取締役7人中4人が今月辞任
- Binanceに攻撃、被害63億ドル マレーシア換算257億リンギ
- マレーシア、米系新興が6億ドルでレアアース精製計画
- HSBC、マレーシア成長予測上げ 2026年4年ぶり高水準か
- インドネシア、ハラール認証義務化10月18日拡大 第30回食品展閉幕
- マレーシア、ターゲット型補助金を維持 物価上昇率1.8%
- マレーシア、20億リンギの海底ケーブル整備 2029年完成
- マレーシア中銀、中小企業支援枠を倍増し100億リンギに
- マレーシアとバングラデシュ、FTA交渉開始 2027年末妥結目指す
シンガポール(25本)
シンガポール政府は法定定年を65歳、再雇用年齢を70歳に引き上げ、2029年1月施行すると発表した。同時期に7〜9月期の解雇者数は4800人と2020年末以来最多を記録した。政府は電力網整備に53億シンガポールドルを投じる5カ年計画も発表した。
- シンガポール雇用指数13%に低下、求人不安21%で最高水準
- シンガポール、中小企業1000社にAI導入支援 SalesforceとIMDA
- シンガポール輸出8月46.2%増、電子製品がけん引
- シンガポール政府、インドネシア産LNG148隻の転売疑惑を否定
- シンガポール、ラオスから500MW再エネ電力輸入で3社合意
- シンガポール解雇4800人、2026年3Q 2020年以来最高水準
- シンガポール、個人のPHC購入に融資規制 2026年10月30日施行
- シンガポール転売住宅価格、3四半期連続0.1%下落 2014年以来
- マレーシアのFingular、2000万米ドルの融資枠を確保
- 仏伊STマイクロ、Q4売上高41.5億ドル予想 市場上回る
出典
本記事は東南アジア経済新聞が2026年10月26日〜11月1日に掲載した記事のまとめです。個別の出典は各記事に記載しています。

