マレーシア、20億リンギの海底ケーブル整備 2029年完成
マレーシア政府は通信網の容量と強靭性を高めるため、総延長5582キロの海底ケーブル「サラム」整備事業を2027年第1四半期に着工し、2029年第4四半期に完成させる。
マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)と財務省は、「Madani Submarine Cable(通称サラム)」事業を2026年度予算案で示した。事業費は20億リンギ(約774億6533万円)で、サラワク州に3カ所、サバ州に5カ所、半島部に2カ所の計10カ所の陸揚げ局を設け、4区間・総延長5582キロの海底ケーブルを敷設する。着工は2027年第1四半期、完成は2029年第4四半期を予定する。MCMCが運用する国民皆通信(ユニバーサルサービス)制度の枠組みで実施される。
現行の海底ケーブル網「SKR1M(1Malaysia国民ケーブルシステム)」は2017年に完成し、最大12.8テラビット毎秒(Tbps)の容量を持つが、稼働から約10年が経ち利用可能容量は4Tbpsにとどまる。UniSZA(スルタン・ザイナル・アビディン大学)のアミール・アクラミン・シャフィー氏(スマートシステム技術の専門家)は、インターネット利用やAI、大規模クラウド計算の増加により現行容量ではもはや不十分だと指摘した。同氏はまた、海底ケーブルが敷設されても家庭や内陸部が直接インターネットに接続できるわけではなく、データは通信網や送信塔などの地上インフラを経由する必要があり、遠隔地では衛星が接続を補う役割を果たすと説明した。UiTM(マラ工科大学)サバ校のフィルダウシ・スフィアン講師は、デジタル格差は開発機会の剥奪を意味すると述べ、デジタル基盤の不足がサバ州・サラワク州の生産性や産業競争力、投資機会での格差を長引かせかねないと指摘した。
背景
世界のデータ通信の95%は海底光ファイバーケーブルが担っている。マレーシアの既存システムSKR1Mは稼働から約10年が経ち、保守の必要性が増す一方で容量不足も顕在化している。サラム事業は単一システムへの依存を減らし、追加の通信経路を確保する狙いがある。なお東南アジア諸国連合(ASEAN)のデジタル経済は、デジタル経済枠組み協定のもとで2030年までに2兆米ドル(約315兆8061億円)規模の潜在力を持つとされる。
日本企業への含意
通信・データセンター関連の日本企業にとって、マレーシア東西をまたぐ通信容量の増強は、サバ州・サラワク州を含む拠点展開や冗長性確保の選択肢を広げる可能性がある。一方で地上インフラの整備が伴わなければ末端利用者への接続改善は限定的であり、通信設備やネットワーク機器を提供する企業は地上側の投資動向も合わせて注視する必要がある。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=86.86円 / 1000VND=6.11円 / 1THB=4.68円 / 1PHP=2.47円 / 1MYR=38.73円 / 1SGD=123.18円 / 1USD=157.90円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

