週間ASEAN経済ニュースまとめ 9月21日〜9月27日
対象期間 2026年9月21日〜9月27日/掲載 222本
今週の東南アジアは、ASEANが物品貿易協定(ATIGA)改定の発効を2027年6月から2026年末へ半年前倒しすることで合意し、域内の制度整備を加速させた一方、対米関税交渉や電力・データセンター規制を巡る綱引きが続いた1週間だった。タイは通商法301条の発動を前に19%関税の維持へ交渉を急ぎ、ベトナムも米国との相互関税協定交渉が最終段階に近いとの見解を示した。フィリピンではGCash運営Myntの上場準備が進み、資本市場の動きも重なった。ADBは各国の成長率見通しを見直し、明暗が分かれる展開となった。
資金の動きでは、三菱商事がフィリピンのアヤラへの経済持分を4.7%から15%に引き上げ1124億円を投じると発表し、SMBCはベトナムVPBank株の保有比率を15%から20%へ引き上げる交渉を続けている。Microsoftはインドネシアのクラウド・AI基盤整備に17億ドルを投資すると表明し、タイの国営PTTは低炭素産業ハブ開発に50億ドル規模の投資を検討する。独SiemensはベトナムVinSpeedと高速鉄道整備で10億ユーロの契約を結び、英国は最大50億ポンドの融資枠をフィリピンに供与した。
政策・金融面では、インドネシア中銀が政策金利を5.75%に据え置く一方、フィリピン中銀は年内に5.25%への追加利上げが見込まれるとの分析が相次いだ。ベトナム中銀は銀行間金利急騰を受け資金供給とスワップで介入し、グリーン事業を初めて定義する決定46号を11月に施行する。タイは財政余地の縮小を背景にVAT税率を7%から段階的に10%へ引き上げる案を検討し始め、データセンター新設も一時停止して最低基準の策定を進めている。
成長率を巡ってはADBがベトナムを7.8%、タイを2.0%へ上方修正した一方、フィリピンは3.3%へ下方修正し、ペソは対ドルで最安値更新が見込まれるなど通貨面でも劣勢が目立った。インドネシアは干ばつによるニッケル減産や労働者の解雇5.3万人、外国人投資家による銀行株売り越しなど逆風が重なった。マレーシアは住宅市場で未売却在庫59%、建設コスト13%上昇と不動産セクターの停滞が鮮明になり、シンガポールは解雇者数がコロナ禍以来最多となる一方、半導体産業に8億ドルを投じる新戦略を打ち出した。
日本関連では、三菱商事のアヤラ出資拡大やSMBCのVPBank交渉など東南アジアの金融・複合企業への資本参加が続く一方、みずほ銀行はシンガポールで鉄鉱石トレーダーを詐欺で提訴し、150億円規模の債権焦げ付き疑惑に直面するなど投資回収局面のリスクも表面化した。JICAはタイのシンクロトロン建設に融資し、INPEXは豪Ichthysの権益取得でJERAの売却を阻止するなど、エネルギー・研究インフラ分野での関与も続いており、規制変化や電力不足懸念を踏まえた判断が各所で求められている。
今週の注目
- フィリピン フィリピン:三菱商事、アヤラ出資15%に拡大 1124億円投資 — 三菱商事がアヤラ出資を15%に拡大、比複合企業への本格関与を示す
- ベトナム SMBC、ベトナムVPBank株20%取得へ交渉中、株価評価で難航 — SMBCがベトナムVPBank株20%取得を交渉、評価額で難航
- シンガポール シンガポール:みずほ銀、鉄鉱石詐欺で提訴 150億円規模の債権焦げ付き疑惑 — みずほがシンガポールで鉄鉱石詐欺提訴、150億円債権焦げ付き疑惑
- シンガポール 豪州Ichthys権益0.735%、INPEXが優先取得でJERA売却阻止 — INPEXが豪Ichthys権益取得、JERAの売却を阻止した動き
- タイ タイ、日本と3GeVシンクロトロン建設 2034年稼働へ — タイのシンクロトロン建設にJICA融資、日タイ研究連携の柱に
- インドネシア インドネシア、Microsoftが17億ドル投資表明 AI・クラウド強化 — Microsoftがインドネシアに17億ドル投資、AI・クラウド基盤整備
国・地域別
インドネシア(43本)
Microsoftがインドネシアのクラウド・AI基盤整備に17億ドルの投資を表明した。同国中銀は政策金利を5.75%に据え置き、外国人投資家は大手銀行株を週1.1兆ルピア売り越した。干ばつでニッケル生産が10万トン減少するなど資源分野にも影響が出た。
- インドネシア証取、59社を高株主集中に分類
- インドネシア、失業者5.3万人 今年1〜8月に発生
- インドネシア株、外国人が週1.1兆ルピア売り越し 銀行大手4行が売却対象に
- インドネシア、データセンター159社が電力2378GWh消費
- インドネシア強化米、27銘柄中25銘柄が栄養基準未達
- インドネシア・マレーシア、2027年パーム油生産3%減予測、エルニーニョで
- インドネシア金融庁、2026年に資本市場優遇策を提案
- インドネシア東カリマンタンで探査井掘削開始 ガス109BCF見込む
- インドネシア、Microsoftが17億ドル投資表明 AI・クラウド強化
- インドネシア、干ばつでニッケル生産10万トン減少
ベトナム(35本)
ADBがベトナムの2026年成長率予測を7.8%に上方修正した。独SiemensはVinSpeedと高速鉄道整備で10億ユーロの契約を結んだ。中銀は銀行間金利急騰を受け資金供給とスワップで介入し、金融市場の緊張も表面化した。
- ベトナム、データセンター急増で2027年電力不足の懸念
- ベトナム電気料金値上げ、CPI目標超えのリスク 4.9%上昇で0.17ポイント押上げ
- ベトナム産ティラピア、対ブラジル輸出222倍 8カ月で141億円超
- ベトナム首脳、カナダで原発協力協議 10〜20年の技術移転案検討
- ベトナムFDI企業、輸出80%占めるも内資連携限定的
- ベトナム農林水産輸出、9カ月で8兆9337億円
- ベトナムPNJ、26年12月期62億ドンの赤字予想に下方修正
- SMBC、ベトナムVPBank株20%取得へ交渉中、株価評価で難航
- ベトナムMasan、タングステン子会社株4.99%を米Elmetへ売却
- ベトナム二桁成長に労働生産性年8.5〜9%上昇必要
タイ(41本)
タイ証券取引所はNYSEと5分野で協力覚書を締結し、アヌティン首相が開鐘式に出席した。同国は財政余地が3〜4%に縮小し、VAT税率を7%から10%へ段階的に引き上げる案を検討している。データセンター新設も一時停止し、最低基準策定を進めている。
- タイPTT、低炭素産業ハブに7872億円投資検討
- タイ、日本と3GeVシンクロトロン建設 2034年稼働へ
- タイ、土地評価額を10%超引き上げ 2027年1月から適用
- タイ、EV補助金の返還検討 物品税局が着手
- メルセデス、タイ工場でEV新型GLC生産へ 2027年納車開始
- タイ証取、NY証取と提携合意 首相は3人目の開所式参加
- タイ、中国GWM・SAICにEV部品投資要請 輸出7カ月2.66億ドル
- タイ証取、NYSEと5分野で提携覚書に調印
- タイ首相、NYSEで開鐘式に出席 歴代3人目
- タイ、軽油B20補助金を1リットル8.99バーツに改定
フィリピン(36本)
GCash運営Myntが10月20日上場を予定し、BlackRockなど海外投資家20社超が出資を表明した。出資予定株式は最大59.8%に達する見込み。EUとは関税94%を自由化するFTAで実質合意し、2027年の署名を目指す。
- フィリピンに台湾企業が10億ドル工場、新クラーク市で契約調印
- フィリピン、137件・17.8GWの電源計画を送電網審査へ
- フィリピン創造産業2.12兆ペソ、GDPの7.6%占める
- フィリピンGCash、IPOに海外投資家20社超が参加表明
- フィリピンGCash、IPO批判にAyala社長反論 月間利用者4150万人
- フィリピンMynt社IPO、大手投資家が924億円出資へ
- フィリピン工業団地、電力料金17~18%上昇で選定基準が変化
- 比とEU、関税94%削減のFTAで実質合意 2027年署名目指す
- フィリピン、個人向け国債を前年比半減以上に縮小
- フィリピン証券、海外株解禁 DragonFiが上限100%投資容認
マレーシア(36本)
不動産開発業者団体Rehdaの調査で、住宅市場の未売却在庫が59%に達し軟調さが鮮明になった。建設コストは3月から6月で平均13%上昇し、上半期の住宅販売率は33.2%にとどまった。リンギットは対ドルで比較的安定して推移し、通貨面では底堅さを維持した。
- マレーシア、起業家支援機関が27万人に100億リンギ配分
- カンボジアのLegend Cinema、マレーシア初出店へ2026年開業
- マレーシアなど5カ国、東南アジアFDIの35%集中
- マレーシア、ランカウイ島の免税特典復活を検討
- マレーシア先行指数、7月に1.1%上昇し115.3ポイント
- GWM、マレーシア政府車両評価にPremium MPVで参加
- マレーシアなど6カ国、2026年に中国上回る成長へ
- マレーシア航空、中国路線を9都市に拡大 深セン・長沙に新規便
- マレーシア、リンギ連動ステーブルコインUMYR実証へ
- マレーシア航空会社AirBorneo、P W Canadaと4年整備契約
シンガポール(31本)
シンガポール政府は半導体産業の国家ブランド「SG Semiconductor」を発表し、2026〜2030年に8億ドルを研究開発に投資すると表明した。同国の10歳児向け半導体教育プログラムも2年で600人の育成を目指す。一方、2026年第2四半期の解雇者数はコロナ禍以来最多となり、労働市場の軟化も浮き彫りになった。
- シンガポールのiPiD、Citi・HSBCから16億円規模調達
- シンガポール、半導体R Dに8億ドル投資 新戦略始動
- ASEAN・EU広域FTA構想浮上 欧州企業74%が支持
- シンガポール:鉄鉱石商社に10億ドル超の債権不正疑い
- 豪州Ichthys権益0.735%、INPEXが優先取得でJERA売却阻止
- シンガポール金融界、8万人にAI研修 2028年目標
- 東南アジアのスタートアップが7.25億ドル調達、AI企業も参加
- シンガポール国立大、AI特許活用基盤Novaを始動 拠点網世界4カ所に
- シンガポール、半導体ブランド始動 世界の1割生産維持へ
- シンガポールRadiant World、10億ドルの売掛金に疑義 みずほが再建申立て
出典
本記事は東南アジア経済新聞が2026年9月21日〜9月27日に掲載した記事のまとめです。個別の出典は各記事に記載しています。

