ベトナム首相、2030年までの電力確保を指示 節電3%義務化へ
ベトナム首相は電力供給を2030年以降も確実に確保するよう関係機関に指示し、政府事務局が10月22日付で公電を発出した。
ベトナムのレ・ミン・フン首相は、工商省や電力公社EVN(国営電力会社)、ペトロベトナム(国営エネルギー大手)、国営石炭鉱物産業グループなどに対し、2030年以降も電力供給を確実に行うための措置を速やかに実施するよう指示した。政府事務局は2026年10月22日付で公電第10790号を発出し、首相の指示内容を伝達した。首相は「いかなる状況でも電力不足を起こしてはならない」と述べ、電力安全保障の確保は社会経済発展目標達成の基盤であり、政治体制全体にとって特に重要な政治課題だと強調した。対象は工商省をはじめ各省庁、省・直轄市の党委員会書記、人民委員会委員長、企業、家庭、工業団地など広範囲に及ぶ。
具体策として、国全体の電力消費量の年間3%、特に気温が上がる4〜7月のピーク時には10%の節電を求め、ピーク時の電力需要を3000メガワット削減する目標を掲げた。電力系統全体の損失率は6%以下に抑える目標も示された。屋根置き太陽光発電の普及目標案を2026年10月30日までに提出し、設置支援策は同年12月までに導入する予定。蓄電池システム(BESS)の開発に関する仕組みやガイドラインも12月までに整備し、変電所でのBESS稼働は2027年を予定する。ナドゥオン2、クアンチャックI両火力発電所は2026年に完成・商業運転を開始する計画。
背景
2025年のベトナムの発電・輸入電力量は3228.1億キロワット時で、うち石炭火力が1447.8億キロワット時と44.85%を占め、水力が33.25%、再生可能エネルギーが12.5%だった。2026年1〜8月には石炭火力の発電量が1192.4億キロワット時に達し、構成比は50.6%と前年同期比1.3ポイント上昇した。ベトナムの電力需給計画では石炭火力を2050年までに段階的に廃止する方針だが、現状では電源構成の約半分を石炭火力が占めており、長期目標と現実の間に乖離が生じている。
日本企業への含意
日本企業にとっては、ベトナム国内の工業団地や生産拠点で節電目標(年間3%、夏季10%)の遵守が求められる可能性があり、省エネ設備投資や自家発電・蓄電池システムの導入検討が必要になる。また屋根置き太陽光や蓄電池分野で2026年末までに支援策や制度が整備される見込みのため、関連する日本の太陽光・蓄電池メーカーや設備投資家にとって新たな商機が生まれる可能性がある。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.28円 / 1000VND=6.16円 / 1THB=4.71円 / 1PHP=2.49円 / 1MYR=38.96円 / 1SGD=123.85円 / 1USD=158.38円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

