ベトナム、原発SMRに民間参入解禁 投資額最大36億ドル
ベトナム政府は電力法改正案を提出し、小型モジュール炉(SMR)原発の建設・運転への民間参入を認める方針で、国家独占を撤廃する一方、戦略的水力発電と基幹送電網は独占を維持する。
ベトナム政府は2026年10月20日、電力法改正案を第16期国会に提出した。改正案は、工業貿易省(Bộ Công Thương)が起草し、小型モジュール炉(SMR)を用いた原子力発電所の建設・運転について、従来の国家独占を撤廃し民間企業の参入を認める内容。SMRは1基あたり最大300MWの出力で、従来型原子炉の約3分の1の規模にあたる。一方、戦略的かつ多目的な水力発電所と、電圧220キロボルト以上の重要な基幹送電網については、首相が定める対象リストに基づき国家独占を維持する。国会は2025年末、2026〜2030年の国家エネルギー開発決議を可決し、政府にSMR投資の仕組み整備を指示していた。審議は2026年11月3日、採決は同月20日を予定する。
投資コストはSMRで1キロワットあたり7000〜1万2000ドル(約111万〜189万円)、出力300MWの発電所建設費は21億〜36億ドル(約3315億9640万円〜5684億5097万円)、建設期間は2〜3年と見積もられる。これに対し標準的な原発は建設費60億〜90億ドル(約9474億1829万円〜1兆4211億円)、建設期間5〜10年とされる。レ・マイン・フン工業貿易相は、今回の改正はエネルギー安全保障に関する新方針を制度化し、計画・投資・価格・電力市場のボトルネックを解消する狙いがあり、電力価格の合理性と透明性確保にも資すると述べた。国会科学技術環境委員会のグエン・タイン・ハイ委員長は、民間・国有双方のSMR参入促進に基本的に賛同しつつ、国以外の事業者の参入条件・範囲を明確にし、原子力法制との整合性と安全管理水準の維持を求めた。民族評議会専任委員のホアン・バン・トゥエン氏は、民間参入解禁が資金調達と新技術導入の可能性を広げる一方、安全管理や使用済み燃料・放射性廃棄物の処理、施設解体の責任は通常の投資案件をはるかに超える長期にわたる重大な政策だと指摘した。
背景
国会は2025年末の会期で2026〜2030年の国家エネルギー開発決議を可決し、政府に小型モジュール炉の投資促進策の策定を指示した。現行の電力法では、原子力発電所に加え、戦略的かつ多目的な水力発電所、電圧220キロボルト以上の重要な基幹送電網への投資・建設・運転は国家が独占すると定められている。
日本企業への含意
原発・SMR関連技術や建設・運用ノウハウを持つ日本企業にとって、ベトナム市場への参入機会が広がる可能性がある。ただし民間事業者の参入条件や範囲は改正案でなお明確化が求められており、原子力安全規制や放射性廃棄物管理の責任分担が今後の詳細制度でどう定められるかを注視する必要がある。
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出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

