タイ、公的債務上限70%維持 財務相が表明
タイのエーカニット副首相兼財務相は経済フォーラムで、公的債務残高の対GDP比上限70%を維持する方針を示し、2000億バーツ(約9416億9052万円)の特別融資令を経済移行3分野に充当すると述べた。
タイのエーカニット・ニティタンパオパサット副首相兼財務相は、バンコクのサイアム・パラゴン内パラゴンホールで開催された「THE STANDARD ECONOMIC FORUM 2026」で講演し、公的債務残高の対GDP比上限を70%から引き上げない方針を明言した。財務省は構造改革戦略「STI-DEE」を準備中で、2000億バーツ(約9416億9052万円)の特別融資令による資金を、エネルギー・人材・デジタルの3分野の移行に充てる。出国税の徴収は観光業の現状を踏まえ当面見送り、代わりにグローバル最低課税の徴収を進める方針も示した。
2000億バーツのうち、国民向け太陽光発電事業に500億バーツ(約2354億2263万円)、スマートメーター転換と次世代電力網整備に200億バーツ(約941億6905万円)を配分する。年収10万バーツ(約47万円)未満の低所得層約600万人を対象に人材育成を進める。グローバル最低課税により年間100億バーツ(約470億8453万円)の増収を見込む。電気自動車(BEV)と改造電動車(REEV)への物品税率は35%とした。STI-DEE戦略では過去5年分の政府調達データを開示する。エーカニット氏は「タイ経済はK字型回復にあるが、政府は裾野の所得を底上げするV字型への転換を目指す」と述べ、「公的債務上限70%は絶対に引き上げない」と強調した。
背景
タイの公的債務残高は2026年9月末時点で対GDP比68.61%。直近の予算編成で財政赤字を対GDP比4.4%から3.4%に圧縮し、世界的格付け機関3社がタイの見通しを安定的に引き上げた。10年国債の調達コストは2%で、米国の5%、インドネシアの8%近辺、マレーシアの4%より低い水準にある。政府はこうした環境を背景に、債務上限を維持しつつ構造改革を進める方針を打ち出した。
日本企業への含意
タイ政府が財政規律を維持しつつ低所得層支援やエネルギー転換に資金を振り向ける方針は、同国で事業を展開する日本企業にとって内需の底上げにつながる可能性がある。太陽光発電やスマートメーター関連の投資拡大は、電力・インフラ機器を手がける日本企業に商機となり得る。またEVへの物品税率35%は、タイで電動車事業を展開する自動車メーカーにとってコスト構造を左右する要因になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.28円 / 1000VND=6.16円 / 1THB=4.71円 / 1PHP=2.49円 / 1MYR=38.96円 / 1SGD=123.85円 / 1USD=158.38円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

