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シンガポール、2050年に電力の10%を原子力で検討

シンガポール政府はエネルギー市場監督庁の報告書で、原子力発電が2050年までに国内電力需要の最大10%を賄う可能性があると試算し、原子力導入へ姿勢を転換しつつある。

シンガポールは2012年、国土が狭く人口密集度が高いことを理由に従来型原子力発電所の導入を見送ったが、将来技術の採用は否定しなかった。2022年3月、ロシアのウクライナ侵攻を契機とする世界的なエネルギー危機を受け、エネルギー市場監督庁が委託した報告書が原子力を再び選択肢に戻した。現在シンガポールは天然ガスでエネルギー需要の95%を賄っているが、2025年には中東情勢の緊迫化でホルムズ海峡が封鎖され、東南アジア地域のLNG輸入の20%がこの海峡を経由していたことから供給不安が強まった。政府は国際原子力機関(IAEA)による準備態勢評価を2027年に受ける計画で、過去2年間に原子力関連の国・企業と少なくとも7件の協定を結んだ。

タン・シーレン通商産業省エネルギー・科学技術担当相は議会で、1インチ大のウラン燃料ペレット5個で天然ガス換算オリンピックサイズのプール1杯分と同量の電力を生み出せると説明した。周辺国も原子力導入目標を明示しており、タイは2050年までに600メガワット、インドネシアは2060年までに電力構成比12.1%を目指す。マレーシアは2025年に原子力を将来のエネルギー構成に正式に組み込んだ。政府は2025年、エンジニアリング大手のMott MacDonaldに先進原子力技術の安全性と実現可能性の調査を委託した。小型モジュール炉(SMR)は世界で設計数が2024年の98件から156件に増え、米原子力規制委員会は9月に初のSMR建設許可を承認、審査期間は14カ月だった。従来型原子炉は半径15〜30キロの安全区域が必要とされるが、SNRSI(シンガポール原子力研究安全研究所)は、SMRは燃料量が少なく自然循環などの受動的安全機構を持つため、安全評価次第でより小さな緊急時計画区域で済む可能性があると説明した。

背景

石油危機のあった1970年代にはフランス、スウェーデン、日本などが大規模な原子力建設計画に着手した。一方、2011年の福島第一原発事故では電源喪失が冷却不能と炉心溶融を招き、以降米国やフランスなど西側諸国では新規建設が停滞し、技術・人材・サプライチェーンの能力が失われた。シンガポールは2008年にはプラサ・ブランカ島(マレーシアから約30キロ)の埋め立て検討を明らかにしたこともあった。

日本企業への含意

原子力への回帰は東南アジア全域で進んでおり、日本のエネルギー・プラント関連企業にはSMR技術や安全規制の知見を提供する機会が広がる可能性がある。一方、天然ガス依存から脱却する動きは、LNG供給契約や関連インフラ投資の前提条件を見直す必要を日本企業にもたらす可能性がある。地域共通の規制枠組みづくりが進めば、単独国向けではなく複数国展開を視野に入れた事業設計が求められる。

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本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=88.08円 / 1000VND=6.11円 / 1THB=4.71円 / 1PHP=2.51円 / 1MYR=38.71円 / 1SGD=123.23円 / 1USD=158.08円)によります。

出典

本記事は上記1社の報道にもとづきます。

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