フィリピンのAI導入率32%に上昇、AWSが調査結果発表
アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は2026年10月14日、フィリピン企業のAI導入率が1年で21%から32%に上昇したとする調査結果を発表した。
AWSは2026年10月14日、フィリピンでメディア向け説明会を開き、調査会社Strand Partnersに委託した「Unlocking the Philippines’ AI Potential 2026」の結果を公表した。調査によると、フィリピン企業のAI導入率は前年の21%から32%へと52%増加した。AI導入企業のうち74%が生産性向上を、68%が売上増加を報告し、売上は平均20%伸びたという。一方で57%の企業はなお探索・実験段階にとどまり、複数部門にAIを拡大する正式なロードマップを持つ企業は17%にとどまる。説明会ではAWSフィリピンのプレシャス・リム・カントリーマネージャーが、2026年7月に署名された政府データのデータ常駐に関する大統領令119号(EO119)についても言及した。
課題面では、デジタル人材不足を障壁に挙げた企業が47%、技術・データ関連の課題を挙げた企業が39%あった。責任あるAIの包括的な枠組みを導入済みの企業は12%、正式なデータガバナンス体制を持つ企業は18%にとどまる。一方、71%の企業が政府のリーダーシップがAI導入加速に不可欠と回答し、74%が政府と技術提供企業の連携強化が導入を早めるとし、45%が政府のAI活用が自社の導入・信頼を促すと答えた。リム氏は「データはAIが事業成果を生み出すための基盤だ」と述べ、Amazon Bedrock Guardrailsで企業のAI運用を安全に支援すると説明した。AWSは2017年以降、28万人のフィリピン人を訓練・認定済みという。
背景
EO119は1964年にさかのぼる既存のデータ分類制度に代わり、リスクに応じた政府データの常駐枠組みを新設するもので、2026年7月にマルコス大統領が署名した。最も機密性の高い政府データ区分は国内に保持する義務を課す一方、機密性が低いデータはサイバーセキュリティや暗号化基準を満たす安全なクラウド基盤上での運用を認めている。対象はあくまで政府データであり、民間・商業データ全般への適用は規定していない。
日本企業への含意
フィリピンで事業を展開する日本企業にとって、AI導入率が32%に達し生産性・売上面の効果も報告されている一方、人材不足やガバナンス体制の未整備が課題として残っている点は、現地法人のAI投資計画を立てる上で参考になる。また政府データの常駐義務を定めるEO119の実施細則が今後明確化される見通しであり、政府関連案件やクラウドサービスを扱う企業は、データ区分や保管場所の要件変更に備えた確認が必要になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.83円 / 1000VND=6.11円 / 1THB=4.73円 / 1PHP=2.51円 / 1MYR=38.71円 / 1SGD=123.46円 / 1USD=158.00円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

