インドネシア、電力輸出を延期 データセンター需要20GWで国内優先
インドネシアのバハリル・ラハダリア・エネルギー鉱物資源相は2026年10月26日、データセンター需要の高まりを理由に、シンガポールなど他国への電力輸出計画を当面延期すると発表した。
バハリル氏はジャカルタのエネルギー鉱物資源省で、国内の電力需要がなお高いことを理由に、他国向けの電力輸出計画を見送ると表明した。同氏はエネルギー鉱物資源相に加え、ダウンストリーム・エネルギー転換調整相、国家エネルギー評議会常任議長も兼務する。政府は電力輸出の段階的な実施に向け検討を続けており、データセンター産業向けの電力需要が約20GWに達すると見込まれることから、国内需要の充足を優先する方針を示した。シンガポール向け電力販売計画については、バタム島、ビンタン島、カリムン島(いずれもリアウ諸島州)に再生可能エネルギー由来の発電設備を建設する構想があるが、着手時期は未定とした。
バハリル氏は、データセンター向けの電力需要が20GWに上ると見込まれることを挙げ、「国内の市場で十分であり、まず国内需要を優先する」と述べた。また電力輸出の検討は続けているものの「近いうちには実現しないだろう」とも語った。シンガポール向け電力販売計画は、最終的に発電容量3.4GWを段階的に積み上げる構想で、初期段階は600MW〜1.2GWの規模を想定している。2026年7月6日の首脳会談では、インドネシアと政府機関・企業間で計26件の覚書が交わされていた。
背景
2026年7月6日、プラボウォ・スビアント大統領とシンガポールのローレンス・ウォン首相はシンガポールでの首脳会談で、国境を越えた電力取引の実施加速を含む戦略的連携に合意し、政府機関から企業間まで計26件の覚書を取り交わした。プラボウォ大統領はこの際、国境を越えた電力取引の実施主体としてダナンタラ(2025年発足のインドネシア政府系投資機関)を指名し、ケッペル・エレクトリックやセンブコープ・インダストリーズなどシンガポールのエネルギー企業との調整を担わせる方針を示していた。
日本企業への含意
インドネシアでデータセンター投資や再生可能エネルギー事業を検討する日本企業にとって、国内電力需要の優先度が高まることは、新規発電プロジェクトへの電力供給確保や許認可の優先順位に影響する可能性がある。また、バタム島などでの輸出向け発電計画が先送りされたことで、関連インフラへの投資参画や資機材供給の商機も、当面は時期が読みにくくなる。電力供給の確実性を前提とするデータセンター進出計画では、国内優先という政府方針を踏まえた電力調達戦略の見直しが必要になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=86.83円 / 1000VND=6.07円 / 1THB=4.65円 / 1PHP=2.46円 / 1MYR=38.39円 / 1SGD=122.71円 / 1USD=156.86円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

