フィリピン26年成長率3.3%に下方修正、AMROが物価高警告
ASEAN+3の調査機関AMROは、フィリピンの2026年GDP成長率予測を4.1%から3.3%に、2027年も5.5%から4.6%に下方修正したと発表した。
AMRO(ASEAN+3加盟国のマクロ経済を監視する政府間機関)は2026年のフィリピン成長率予測を7月時点の4.1%から3.3%に、2027年も5.5%から4.6%にそれぞれ下方修正した。フィリピン政府が掲げる成長目標は2026年が3.5~4.5%、2027年が5~6%で、AMROの新予測はこの下限付近かそれを下回る。背景には中東情勢に伴うエネルギー価格高騰と、国内の洪水対策予算を巡る汚職問題による公共投資の停滞があると、AMROのチーフエコノミスト、ドン・ヘ氏は指摘した。同国の第2四半期GDP成長率は2.3%、上半期平均は2.6%にとどまった。
インフレ率予測も修正され、2026年は5.7%から5.6%へわずかに下方修正された一方、2027年は4.1%から4.6%に上方修正された。前年のインフレ率1.7%、フィリピン中央銀行(BSP)の目標3%を上回る水準が続いており、年初来のインフレ率は5.2%、8月時点で6カ月連続してBSP(フィリピンの中央銀行)目標を超過している。BSPは8月に政策金利を25ベーシスポイント引き上げて5%とし、直近3回の会合で計75ベーシスポイントの利上げを実施した。BSPのエリ・レモロナ総裁は、スーパーエルニーニョや最低賃金引き上げによるインフレ懸念、原油高の圧力を抑えるための決定だったと説明した。ASEAN+3全体では2026〜27年の平均成長率が4.1%、インフレ率はそれぞれ1.6%、1.7%と見込まれる。AMROのルンチャナ・ポンサパン氏は、個人向けオンライン融資や後払い決済の借り換えリスク増大にも言及した。
背景
フィリピン経済は中東情勢に伴うエネルギー価格急騰の影響を強く受けた。政府は緊急事態を宣言して対応したが、成長鈍化とインフレ急伸を招いた。さらに前年発覚した洪水対策予算を巡る汚職問題が公共投資を大きく減速させた。BSPは4月からインフレ加速を受けて利上げ局面に転じている。気象当局は2026年9〜12月に「非常に強い」エルニーニョが発生し、来年前半まで続く可能性があるとしている。
日本企業への含意
エネルギー高と物価高が続くフィリピンでは、現地進出する日本企業にとって人件費や調達コストの上昇圧力が強まる可能性がある。AMROは個人向けオンライン融資や後払い決済の借り換えリスク増大も指摘しており、消費関連事業を展開する企業は与信管理の強化が必要になる。公共投資の停滞が長引けば、インフラ関連の受注環境にも影響が及ぶ可能性がある。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=88.02円 / 1000VND=6.08円 / 1THB=4.70円 / 1PHP=2.52円 / 1MYR=38.62円 / 1SGD=123.27円 / 1USD=157.73円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

