スイス、マレーシア貿易協定に8万5000人署名 国民投票へ
スイスの環境団体がEFTA・マレーシア経済連携協定の是非を問う国民投票実施を求め、必要数を大きく上回る8万5000件の署名を議会に提出した。
「熱帯林破壊反対同盟」を名乗る環境団体の連合体が2026年10月5日、スイス・ベルンの議会にEFTA(欧州自由貿易連合、アイスランド・リヒテンシュタイン・ノルウェー・スイスで構成)とマレーシアの経済連携協定に対する国民投票実施を求める署名8万5000件を提出した。スイスの直接民主制では、新法公布後100日以内に5万件の有効署名を集めれば国民投票を発議できる。スイス議会は同協定を2026年6月に承認済みで、協定は2025年6月にノルウェーのトロムソで署名、交渉は2012年に開始していた。当局が署名を認めれば、国民投票は2027年上半期に実施される見通し。
同連合体は、協定がパーム油1万2500トン分の関税引き下げを計画しているのに対し、熱帯林破壊や強制労働への実効的な対策が伴っていないと批判し、プランテーション労働者や先住民の権利、農家が種子を自由に保存・交換する権利を脅かす恐れがあると主張した。これに対しスイス当局は署名時点で、マレーシア産パーム油については国内の植物油生産に悪影響を与えないよう市場に即した数量割当による関税削減とし、協定には環境保護と労働権に関する包括的な条項、持続可能な生産を確保する具体的規定を盛り込んだと説明していた。貿易規模では、2025年のスイスからマレーシアへの輸出は8億9000万ユーロ(換算で約4.08億リンギ、約1575億5937万円)、うち医薬品が2億5500万ユーロ、機械類が1億9100万ユーロ。マレーシアからスイスへの輸入は6億2200万ユーロで、うち電気機械が2億4400万ユーロ、機械類が1億900万ユーロだった。
背景
EFTA・マレーシア経済連携協定は2012年に交渉が始まり、2025年6月にノルウェーのトロムソで署名された。スイス議会は2026年6月に国内承認手続きを完了させたが、協定発効には締約国それぞれの国内批准手続きの完了が必要となっている。
日本企業への含意
日本企業にとっては、EFTA・マレーシア間の協定発効が国民投票の結果次第で遅延する可能性があり、パーム油や機械・医薬品分野でスイス経由・関連のサプライチェーンを持つ企業は関税スケジュールの見直しリスクを織り込む必要がある。マレーシア進出企業も、欧州側の環境・労働基準を巡る論点が今後の通商交渉で強まる可能性を踏まえ、持続可能な調達体制の整備が求められる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=88.02円 / 1000VND=6.08円 / 1THB=4.70円 / 1PHP=2.52円 / 1MYR=38.62円 / 1SGD=123.27円 / 1USD=157.73円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

