マレーシア、中国EVの現地部品調達率20〜30%止まり
中国系EVメーカーが独自のサプライチェーンを使い、マレーシアの地場部品メーカーからの調達が伸び悩んでいる実態が明らかになった。
South China Morning Postの報道によると、中国のEVメーカーは部品を自国から輸入し、独自のサプライヤー網を使う傾向が強く、マレーシアの地場部品メーカーの参入が限定的だ。BYDはタンジュンマリム(マレーシア中部)での組立工場計画を取り下げ、代わりにInokomと提携しケダ州クリムで車両を組み立てる方式に切り替えた。一方、マレーシア投資開発庁(MIDA)は2025年5月、地場サプライヤーとChery(中国の自動車メーカー)の商談の場を設け、複数の商業契約成立につながった。
マレーシア国内で組み立てられるEVの現地調達率は20〜30%にとどまり、外国ブランドの従来型エンジン車の最大70%と比べて低い。MIDAの仲介でCheryと引き合わされた地場サプライヤーは部品メーカー23社、技術サプライヤー12社に上り、うち4件の商業契約が成立した。地場サプライヤーが本格量産体制に入るには6〜18ヶ月の準備期間を要し、EV部品への投資回収には10年かかるとされる。Jakartaのシンクタンク、Centre of Economic and Law StudiesのBhima Yudhistira Adhinegara氏は、日本車と中国EVではサプライチェーンの構造が大きく異なると指摘した。Motoring Malaysiaのアイマン・アブドゥラ編集長は、投資家は投資前に政策の安定性と方向性を見極める必要があると述べた。
背景
BYDは当初タンジュンマリムに組立工場を計画していたが、マレーシア投資貿易産業省(フィリピンの通商・産業政策を所管)が設定した輸出割当や価格条件をめぐる対立により計画を撤回した経緯がある。MIDAは以前からCheryと地場サプライヤーの橋渡しを進めてきた。国内組立EVの現地調達率が従来型外国ブランド車に比べて著しく低い状況が、この問題の背景にある。
日本企業への含意
マレーシアで部品供給網の構築を目指す日本の自動車部品メーカーにとって、中国EVメーカーが自前のサプライチェーンを持ち込む動きは、現地調達ビジネスへの参入余地を狭める可能性がある。一方で、中古EV市場の整備や点検・メンテナンス分野では新たな事業機会が生まれる可能性があり、日本企業はEV関連の検査・保守サービスへの展開を検討する余地がある。政策の安定性を見極めつつ、投資回収に長期を要する前提で参入時期を判断する必要がある。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=86.93円 / 1000VND=6.11円 / 1THB=4.67円 / 1PHP=2.47円 / 1MYR=38.83円 / 1SGD=123.26円 / 1USD=157.53円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

