ベトナム物流、空車率最大70%で2027年にデジタル輸送取引所構想
ホーチミン市運輸協会は物流業界の空車走行率が最大70%に達していると指摘し、2027年以降のデジタル輸送取引所構築を提案した。
ホーチミン市運輸協会は、同市と周辺の物流市場で輸送会社の空車走行率が50〜70%に達し、デジタル輸送取引所(マッチングプラットフォーム)が不足していると指摘した。世界銀行もベトナムの貨物輸送市場についてこの問題を指摘している。同協会は2026年11月1日付の報告で、物流情報を一元的にやり取りできるデジタル輸送取引所の構築を提案し、2027年以降の整備を見込む。対象はホーチミン市全域とビンズオン省(ホーチミン市近郊の工業集積地)の工業団地、カットライ港など周辺地域。ビンズオン省やバリア・ブンタウ省と統合した後のホーチミン市の面積は6770平方キロ、人口は約1400万人に拡大している。
物流業界では中小企業や協同組合が70〜80%を占め、個別に顧客を探す分散的な取引が主流となっている。同協会によると、物流コストは市の域内総生産(GRDP)の16〜18%を占め、空車率は約30%に上る。協会は物流コストを11〜12%に、空車率を20%程度に引き下げる目標を掲げる。副会長レ・チュン・ティン氏は、ビンズオン省の工業団地からカットライ港へ荷物を運んだコンテナ車が空荷で戻る一方、逆方向の輸送需要を抱える企業もあり、情報が結びつかずコスト最適化の機会を逃していると述べた。同氏は原因が技術面だけでなく、保証や与信の仕組みが欠けている点など制度面にもあると指摘した。
背景
2015年には運輸当局がデジタル輸送取引所「Vinatrucking」を試験導入したが、情報提供機能にとどまり、大規模な配車調整の仕組みには発展しなかった。その後もPhaata.com(既存の物流取引プラットフォーム)などが登場したが、各社が個別に開発したため連携が乏しく、統一的な輸送エコシステムは形成されていない。ホーチミン市はビンズオン省・バリア・ブンタウ省と統合し、経済圏が拡大したことも背景にある。
日本企業への含意
日本企業にとって、ベトナム南部での物流コスト低減は製造・小売拠点の運営コストに直結する。デジタル輸送取引所が実現すれば、工業団地と港湾間の輸送効率が改善し、サプライチェーンのリードタイムやコスト見通しが立てやすくなる可能性がある。一方で制度や与信の枠組みが整うまでは既存の委託先との関係維持や自社物流管理の強化が引き続き必要になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.10円 / 1000VND=6.12円 / 1THB=4.68円 / 1PHP=2.48円 / 1MYR=38.90円 / 1SGD=123.27円 / 1USD=157.88円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

