11月4日(水) 現地報道と公的統計から、日本のビジネスパーソンに有益な情報をピックアップしています
東南アジアのビジネスニュースを日本語で

ASEAN電力網、フィリピンなど4カ国が海底送電協議 2027年60周年目標

2026年10月31日、ASEANはシンガポールの国際エネルギー週間でフィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポールを結ぶ海底送電網「ASEANパワーグリッド」構築に向け技術・法的課題を協議した。

シンガポール国際エネルギー週間2026の技術ラウンドテーブルで、ASEAN各国がASEANパワーグリッド構想の工学・法律面の課題を協議した。海底高圧直流(HVDC)ケーブルの水深測量、無効電力の不安定性、国境をまたぐ水域の管轄権問題などが論点となった。ASEAN議長国のフィリピンは二国間の法的連系と技術標準の最終化を目指し、シンガポールは2027年のASEAN発足60周年に合わせ、物理的な市場統合と多国間取引ルールの議長国を務める予定。すでに「ASEANパワーグリッド拡張覚書(APG MOU)」と「ASEAN海底送電ケーブル開発枠組み」が整備されている。

海底HVDCケーブルは距離50〜80キロメートルを境に、絶縁体の静電容量に起因する問題が生じるとされ、深海送電には数十億ドル規模の投資が必要とされる。フィリピンのシャロン・ガリン・エネルギー相は「APG MOUは参加の意思を示すものだが、接続国間の協定も同様に重要だ。規制は同期されるべきで、両国に利益となるべきだ」と述べた。シンガポールのタン・シーレン貿易産業・エネルギー相は「数十年議論されてきたASEAN電力網は、もはや脱炭素目標達成だけでなく、競争力やエネルギー安全保障の問題だ。通行権の確実性や統一された越境認証がなければ、資本が滞留し、地域の移行が遅れかねない」と述べた。

背景

ASEANパワーグリッド構想は数十年にわたり議論されてきた。フィリピンが議長国としてASEAN60周年を翌年に控える中、覚書と開発枠組みがすでに整備され、新設のASEAN規制スクールが線路損失の計算方法、越境ホイーリング料金、オープンアクセスの送電網規則など、国境を越えた規制上の摩擦点の標準化を担う。

日本企業への含意

日本の送変電機器メーカーや商社にとって、ASEAN域内の海底HVDCケーブル敷設は数十億ドル規模の需要を生む可能性がある。ただし通行権や越境ライセンス、ホイーリング料金の規制枠組みが未整備であるため、投資判断には各国の規制整備の進捗を見極める必要がある。金融機関にとっても、長期的に採算の取れる案件組成には規制の予見可能性が前提となる。

PRVRIAcademy 東南アジアの現地スタッフに、日本トップ企業の研修を。英語・オンラインライブ、次回2027年1月12日開講

本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.10円 / 1000VND=6.12円 / 1THB=4.68円 / 1PHP=2.48円 / 1MYR=38.90円 / 1SGD=123.27円 / 1USD=157.88円)によります。

出典

本記事は上記1社の報道にもとづきます。

メールで受け取る

1週間の東南アジアのビジネスニュースを、月曜の朝に1通にまとめて送ります。