マレーシア、35年までに最大950億リンギ投資 電力需要31%増
ムーディーズ・レーティングスは、マレーシアがデータセンター拡大に伴い2035年までに最大17GWの追加発電容量と最大950億リンギ(約3兆6473億円)の投資が必要になるとの分析を示した。
米格付け会社ムーディーズ・レーティングスは2026年10月26日、マレーシアがデータセンター需要の拡大を背景に、2035年までに14〜17GWの追加発電容量と800億〜950億リンギ(約3兆714億円〜3兆6473億円)の投資が必要になるとの分析を発表した。半島マレーシアの電力消費に占めるデータセンターの割合は2025年の4.0%から2035年には31%まで上昇する見通し。同国の電力需要は今後10年間、年平均5.8%の複合成長率で拡大すると見込まれる。ムーディーズは、マレーシアが競争力ある電力価格と政府の支援策を維持できれば、地域のデータセンター拠点として重要な役割を果たせる立地にあるとした。
国営電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の年間設備投資額は、送配電網や発電設備への投資拡大を背景に約180億リンギ(約6910億5847万円)に増加する見通し。TNBの規制対象事業である送配電投資は原価回収の仕組みに支えられ、収益成長を下支えするとムーディーズのチェルシア・ン氏(ムーディーズ・レーティングス アシスタント・バイスプレジデント)は述べた。同氏はまた、データセンターの大半が集積するジョホール州(マレーシア南部、シンガポールに隣接)がプロジェクト承認でより厳格な要件を課しており、資源効率の向上を促すことで電力・水インフラへの圧力を和らげる可能性があると指摘した。一方、再生可能エネルギーの出力変動と現行の蓄電池技術は、中期的にはデータセンターが必要とする24時間稼働の電力需要を十分に賄えないとも述べた。さらに、石炭火力の段階的縮小と老朽化した発電設備の更新を両立させる必要があり、エネルギー転換にはさらなる投資・実行リスクが伴うとした。
背景
2026年6月、マレーシア政府は第6次大規模太陽光発電(LSS)計画の下で、今後のすべての太陽光発電プロジェクトに蓄電池システム(BESS)の設置を義務付けると発表した。ジョホール州は同国のデータセンター容量の大半を抱え、電力効率と水効率の基準に連動した税優遇制度「デジタル・エコシステム・アクセラレーション(DESAC)」の対象にもなっている。
日本企業への含意
データセンターやクラウド事業を手がける日本企業がマレーシアに拠点を置く場合、電力調達コストと供給安定性が中長期の事業計画に直結する可能性がある。再生エネルギーと蓄電池だけでは24時間稼働を賄いきれないとの分析から、電力供給契約の条件確認や複数電源の確保が必要になる。またTNBの投資拡大に伴う電力料金体系の見直しにも注意が必要になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=86.83円 / 1000VND=6.07円 / 1THB=4.65円 / 1PHP=2.46円 / 1MYR=38.39円 / 1SGD=122.71円 / 1USD=156.86円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

