ベトナム、信用対GDP比150%迫る 長期資金調達の多様化を提言
第31回アジア証券フォーラムで専門家が、ベトナムの信用対GDP比が150%に迫っていると指摘し、社債や政府保証債など長期資金調達手段の拡充を提言した。
2026年10月4日、第31回アジア証券フォーラムで、世界銀行のテミナ・カーン氏とベトナム債券市場協会(VBMA)副事務局長でOptima Wealth Partners最高経営責任者のゴー・テー・チウ氏らが、ベトナムの信用対GDP比が150%に近づいている現状を議題にした。両氏は、銀行融資への依存が続けば、今後のインフラ・開発投資需要に対する資金調達圧力が一段と強まると指摘。政府保証債、官民連携(PPP)事業債、地方政府債(ハノイ・ホーチミン市で議論中)など、銀行融資以外の長期資金調達手段を拡充する必要があると提言した。
具体的には、預貸率(LDR)は115%、株式市場の時価総額はGDP比80%、債券市場全体はGDP比32%(うち社債市場はGDP比11%)にとどまる。過去10年間の年平均信用成長率は15%で推移してきたが、2025年は19%に加速した。国際格付け機関は、ベトナムの信用対GDP比がBBB格付け国平均の3倍に達していると指摘する。VBMA副事務局長のゴー・テー・チウ氏は、銀行の短期資金で経済全体が必要とする10~20年の長期資金需要をすべて賄おうとすればシステムが過負荷になると述べ、建設段階は銀行が監督・融資しても、稼働後に安定した収益を生み始めた段階で長期投資家に債務を移管すべきだと主張した。
背景
ベトナムは今後5年間で2桁成長も視野に高い経済成長を目指している。過去10年の信用拡大は年平均15%に達したが、資金供給は銀行融資に偏り、社債や長期資金源は限られたままだ。政府の直接公的債務は過去の財政規律により低水準にとどまるが、今後のインフラ・開発投資の資金需要は一段と拡大する見通しだ。
日本企業への含意
ベトナムで事業展開する日本企業にとって、銀行融資偏重から債券市場活用への転換は、インフラPPP事業や長期プロジェクトへの資金調達手法の選択肢拡大を意味する可能性がある。政府保証債やPPP事業債の制度整備が進めば、日本の金融機関や商社がベトナムの長期インフラ案件に資金供給者として参加する機会が広がる可能性がある。一方、信用対GDP比の高さは金融システムの脆弱性リスクも示唆しており、現地での資金調達計画には注意が必要になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=88.22円 / 1000VND=6.08円 / 1THB=4.70円 / 1PHP=2.52円 / 1MYR=38.62円 / 1SGD=123.37円 / 1USD=157.83円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

