タイ、新経済計画「第14次」始動 2032年までにOECD加盟目指す
タイのアヌティン首相は国家経済社会開発委員会の年次会合で演説し、2028年から2032年までの第14次国家経済社会開発計画の方針を示した。
タイのアヌティン・チャーンウィーラクン首相は2026年9月30日、ノンタブリ県のインパクト・ムアントンタニで開かれた国家経済社会開発委員会(NESDC)の2026年次会合で基調講演を行い、「計画14がタイをさらに前進させる」と題して演説した。第14次国家経済社会開発計画は2028年から2032年までの5年間を対象とし、5つの柱で構成される。計画には経済構造の改革、投資の障壁の解消、行政改革、人材育成、外国投資の誘致などが盛り込まれる。首相は、計画期間の終了までにタイが経済協力開発機構(OECD)への加盟を果たすことを目標に掲げた。
首相はタイの人口が7000万人にとどまる一方、タイへの投資を通じて少なくとも7億人規模の市場にアクセスできると強調し、「タイはもはや安価な労働力で競争することはできない」と述べた。また、従来の発想や働き方を続ければ国が後退しかねないとし、「他国が急速に前進する中、同じ場所にとどまることは後退を意味する」と警鐘を鳴らした。改革の出発点として政府自身の変革が不可欠だとし、「有能な政府とは、組織や法律、人員の数で測られるのではなく、迅速な意思決定と問題解決、成果創出の能力で測られる」と述べた。
背景
タイと世界は経済、技術、地政学、人口構造、気候変動の面で大きな変化に直面している。会合の直前にはバンコクを中心に豪雨と洪水の被害が発生した。首相は近く東京、ニューヨーク、ロンドンを訪問し各国首脳や企業関係者と対話した結果、海外投資家が求めるのは生産コストの安さではなく、信頼性や明確な規則、十分な電力、整ったインフラ、熟練した人材、強固なサプライチェーン、迅速に判断できる政府であると把握した。タイ経済は潜在成長力に満たない伸び、生産性不足、中小企業の資金・技術へのアクセス難、高齢化の急速な進行といった課題を抱えている。
日本企業への含意
タイで事業展開する日本企業にとって、同国が安価な労働力ではなく市場アクセスや制度の信頼性を前面に打ち出す方針転換は、工場移転先としての位置づけの見直しを迫る可能性がある。行政改革や投資手続きの迅速化が進めば、進出や事業拡大の手続きコストが下がる可能性がある一方、OECD加盟を見据えた規制水準の引き上げは、新たな基準対応のコストを生む可能性がある。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.93円 / 1000VND=6.07円 / 1THB=4.68円 / 1PHP=2.51円 / 1MYR=38.51円 / 1SGD=123.09円 / 1USD=157.31円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

