シンガポールMAS、金融機関に AI 指針 2028年完全順守求める
シンガポール金融管理局(MAS)は2026年10月7日、金融機関に第三者提供AIを含むリスク管理を義務付ける指針を公表し、2028年10月7日までの完全順守を求めた。
シンガポール金融管理局(MAS)は2026年10月7日、金融機関がAI活用に伴うリスクを評価・管理し、第三者が提供するAIについても自社が責任を負うことを義務付ける新指針を発表した。指針は2027年10月7日に発効し、段階的な導入を認めたうえで2028年10月7日までに全面順守を求める。対象は企業全体のリスク管理と個別の利用事例の両方で、データガバナンス、テスト、人による監督、サイバーセキュリティ、監視、変更管理などを含む。取締役会と経営陣が実効的な監督を行う必要があるが、既存のガバナンス体制で十分な監督が確保できる場合、専任のAI委員会設置は義務付けない。
MASは2025年11月に指針案への意見公募(パブリックコンサルテーション)を実施していた。指針では、金融機関が第三者提供AIについて提供元から十分な保証を得て、用途への適合性を評価し、保証に不足がある場合は代替の統制策を講じるよう求めている。MASのホー・ハーン・シン副長官は、AIは金融サービス改善に大きな可能性を持つ一方、能力が高まるAIシステムのリスクを理解し管理する必要があると述べた。MASは2027年に業界と「エージェンティックAI」に関する指針を協議する予定。
背景
MASは2025年11月に指針案を公表し意見公募を行った経緯がある。シンガポール政府は、AIシステムの自律性が高まる中で高リスク用途への安全策強化を検討しており、ジョセフィン・テオ デジタル開発・情報相は、最先端AI企業による安全対策だけでは能力の高いAIシステムがもたらすリスクに対処するには不十分だと指摘している。
日本企業への含意
日本の銀行や証券、保険会社がシンガポールに拠点を持つ場合、第三者提供のAIサービスを利用する際も自社が説明責任を負う体制整備が必要になる可能性がある。特にAIベンダー選定時の保証確認やガバナンス体制の構築、2028年までの段階的な対応計画が求められる。シンガポールの規制動向は他のアジア金融当局の指針策定にも影響する可能性があり、現地法人を持つ日本企業は早期の内部体制見直しが必要になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=88.27円 / 1000VND=6.10円 / 1THB=4.70円 / 1PHP=2.52円 / 1MYR=38.71円 / 1SGD=123.75円 / 1USD=158.15円)によります。

