シンガポール、2025年デジタル経済17兆7638億円 GDP比19.3%
IMDAが2026年10月5日、シンガポールのデジタル経済が2025年に144.1億シンガポールドル(約1兆7764億円)に拡大し、GDPの19.3%を占めたとの報告書を公表した。
シンガポール情報通信メディア開発庁(IMDA)は10月5日、「シンガポール・デジタル経済報告書」を公表した。2025年のデジタル経済規模は144.1億シンガポールドル(約1兆7764億円)(約17兆7638億円、112.4億米ドル相当)で、名目GDPの19.3%を占める。前年の136.5億シンガポールドル(約1兆6827億円)(約16兆8269億円、GDP比18.8%)から5.6%増加し、名目GDP全体の成長率3.1%を上回った。情報通信(I&C)分野以外の産業におけるデジタル化の名目付加価値は97億シンガポールドル(約1兆1958億円)(約11兆9576億円、前年比3.6%増)、I&C分野自体は47.1億シンガポールドル(約5806億2130万円)(約5兆8062億円、同6.1%増)だった。テック分野の就業者数は22万2200人(前年21万4000人から3.8%増)に達した。
企業のAI導入率は全企業で23.5%(前年14.7%)、中小企業で23.4%(同14.5%)、大手現地企業では70.4%(同62.5%)に上昇した。今後12カ月でAI導入を計画する企業は12.1%で2023年の5.6%から倍増した。AI導入企業の88.9%が市販のAIツールを利用し、87.6%が生産性・業務改善を効果の中心と回答。中小企業向け助成金「生産性向上ソリューション助成金(Productivity Solutions Grant)」を通じたAI活用では平均49.5%のコスト削減が報告された。シンガポールの10人以上の企業のAI導入率34.6%は経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の20.3%を上回る。労働者側では2026年にAIを業務で使う割合が86%(前年78%)に達し、73%が生産性向上、60%が1日最大1時間の時短効果を実感した。ただAI関連研修を受けた労働者は37%にとどまり、25%は適切な研修が分からないと回答。IMDA最高経営責任者のウン・チャーポン氏は「企業と労働者がデジタル変革に新たな解決策を取り入れ、デジタル経済は着実な成長を示している」と述べ、「実践的で分野特化型のAIスキルへの継続投資で労働力の競争力を維持する」と語った。IMDAは今後3年でテック人材4万人を再教育する「テックスキル・アクセラレーター」と、2029年までに非テック人材10万人を分野特化型AI研修で育成する「国家AIインパクト計画(NAIIP)」を進めており、会計・法律分野で既に研修が始まっている。
背景
デジタル経済のGDP比は2024年の18.8%(136.5億シンガポールドル、約16兆8269億円)から2025年の19.3%へ拡大し、AI導入率も企業・労働者の双方で前年から大きく伸びた。テック分野の就業者は2024年の21万4000人(前年比2.7%増)から2025年には22万2200人へ増加しており、デジタル化とAI活用の進展が継続して記録されている。
日本企業への含意
日本企業がシンガポールで事業展開する場合、取引先や現地法人のAI導入率が中小企業で23.4%、大手で70.4%に達している点を踏まえ、業務提携先のデジタル対応水準を前提に交渉する必要が出てくる。また現地人材のテック職の賃金水準(月収8000シンガポールドル、約99万円)が全体の中央値(5000シンガポールドル、約62万円)を大きく上回ることから、テック人材の採用・維持コストが上昇する可能性がある。IMDAの研修プログラムを活用した人材育成支援の検討も選択肢となる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=88.02円 / 1000VND=6.08円 / 1THB=4.70円 / 1PHP=2.52円 / 1MYR=38.62円 / 1SGD=123.27円 / 1USD=157.73円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

