シンガポール、AI半導体基板工場開所 投資4億500万Sドル
凸版ホールディングスと米Broadcomの合弁AST(Advanced Substrate Technologies)が2026年9月29日、シンガポールでAI向け半導体基板の新工場を開所した。
凸版ホールディングス(日本の印刷大手)と米半導体設計大手Broadcomの合弁会社AST(Advanced Substrate Technologies)は2026年9月29日、シンガポール西部のジュロン・レイク地区(Jurong Lake District)で、AIやネットワーク機器向けに使うフリップチップ・ボールグリッドアレイ(FC-BGA)基板の新工場を開所した。敷地面積は9万5000平方メートルで、初期投資額は4億500万シンガポールドル(約498億5843万円)。日本メディアの報道では2024年時点で500億円の設備投資が計画されていたとされる。ASTの主要生産拠点は新潟にあり、今回のシンガポール工場はそれに続く拠点となる。
総投資額は今後の増設を経て1000億円を超える見込み。工場稼働に向けてすでに300人のスタッフを採用済みで、2026年後半に本格量産が始まるのに合わせ採用を継続する。生産量は次の増設段階でさらに引き上げる計画。ASTの飯田義之最高経営責任者は、今回の投資が凸版とBroadcom双方のシンガポールへの長期的関与を示すもので、半導体サプライチェーンの強靭化につながると述べた。Broadcomのシリコン・ソリューションズ部門を率いるチャーリー・カワス社長は、業界が基板不足に直面する中でシンガポール拠点の生産能力が同社に柔軟性をもたらすと述べた。シンガポールのガン・キム・ヨン副首相兼貿易産業相は、既存の産業基盤の上に他社が模倣しにくい能力を積み上げる必要があると述べた。
背景
ASTの主要生産拠点は日本の新潟にある。FC-BGA基板は半導体チップと回路基板を高密度に接続する部材で、世界的にAIデータセンターやAI機器の普及が進む中、業界全体が基板不足という供給制約に直面している。シンガポールは半導体設計から前工程のウエハー製造、製造装置、後工程の先端パッケージングまで一連の能力を備え、世界のチップの10分の1、半導体製造装置の5分の1を生産し、同産業は国内総生産の6%、雇用3万5000人を占める。
日本企業への含意
日本の素材・装置メーカーにとって、凸版のシンガポール拠点拡大はAI半導体向け基板需要の受け皿としての取引拡大機会になる可能性がある。基板不足が業界の供給制約として指摘されている以上、国内で同分野に関わる企業は東南アジアでの生産分散や現地採用を含めた供給網強靭化の検討が必要になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.50円 / 1000VND=6.07円 / 1THB=4.68円 / 1PHP=2.52円 / 1MYR=38.50円 / 1SGD=123.11円 / 1USD=157.31円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

