フィリピン電力自由化、2031年に全利用者対象の5カ年計画
フィリピン電力規制委員会(ERC)は2031年までに全ての電力利用者が供給会社を選べるようにする5カ年ロードマップを策定し、小売競争制度の参入基準を段階的に引き下げる方針を示した。
フィリピン電力規制委員会(ERC)は2026年10月26日、2031年までに全ての電力利用者に供給会社選択の権利を認める5カ年ロードマップを発表した。電力産業改革法(2001年)に基づき、ERCは小売競争・開放アクセス制度(RCOA)への参加に必要な最低消費電力の基準を段階的に引き下げる役割を担う。ERCは直近で参加基準を500キロワットから100キロワットに引き下げており、これにより新たに約1万2000件の中規模の商業・工業利用者がRCOAの対象となる見込み。今後は2027年に基準を50キロワットまで下げ、2028年まで維持した上で、性能目標を達成すれば30キロワットまで引き下げ、中小商業施設や大口家庭にも対象を広げる。最終的に2031年に基準を完全撤廃し、全利用者が供給会社を選べる状態を目指す。
スマートメーターの導入は段階的に進める計画で、2028年までに登録サービスを整備し、2029年からマンションや住宅団地、住宅協同組合でのパイロット事業を皮切りに設置を加速させる。全世帯への完全な開放は、対応するスマートメーターの設置を条件に2031年を見込む。ERCのフランシス・サトゥルニーノ・C・ファン委員長は、2027年に基準を50キロワットまで下げる次段階について「家庭レベルに到達するまで」取り組みを続けると述べ、関係者の準備状況とメーター設置に関する設備投資承認の迅速化が支えになるとした。ERCはまた、小口利用者が数百万人規模で小売選択に参加する段階では、発電や契約よりも「どの利用者がどの接続点にいるか、誰が小売業者・メーター提供者か、各区間でどれだけ消費したか」を把握するデータ管理が最大の運用課題になると説明した。2026年8月時点で、既に2692件の対象利用者と311の小売集約グループが供給会社を切り替えている。
背景
電力産業改革法(2001年)の下、ERCは小売競争市場への参加に必要な最低消費電力基準を引き下げる責務を負う。現在、囲い込み利用者は自らのフランチャイズ区域内の配電会社から電力を購入するが、基準を超えれば他の供給会社に切り替える選択肢を持つ。ERCは最近、RCOAの参加基準を500キロワットから100キロワットへと引き下げたばかりで、今回のロードマップはこの流れを2031年までの全面自由化につなげるものとなる。
日本企業への含意
フィリピンに生産拠点を持つ日本企業にとって、電力調達の選択肢が段階的に広がることになる。2027年に基準が50キロワットまで下がれば、中規模工場や事業所も供給会社や料金プランを比較検討できるようになり、電力コスト削減の余地が生まれる可能性がある。一方でスマートメーター設置や小売業者の信用状況などインフラ整備の進捗を注視し、契約切り替えのタイミングを見極める必要がある。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=86.83円 / 1000VND=6.07円 / 1THB=4.65円 / 1PHP=2.46円 / 1MYR=38.39円 / 1SGD=122.71円 / 1USD=156.86円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

