フィリピン、貿易コストASEAN平均より20%高 WTOが是正勧告
WTOは2026年版貿易政策審査でフィリピンの貿易コストがASEAN平均より20%高いと指摝し、非関税障壁の是正を勧告した。
世界貿易機関(WTO)事務局はスイス・ジュネーブで2026年版貿易政策審査を公表し、フィリピンの貿易コストがASEAN平均より20%高いと指摘した。背景には非関税障壁があり、半導体を含むグローバルサプライチェーンでの競争力強化には規制面の障壁解消が必要だとした。フィリピンの2025年の単純平均最恵国(MFN)適用関税率は5.9%で、輸入の13.6%が無税で入っている。2024年の貿易加重平均MFN税率は6%だった。島嶼国家である同国は7641の島から成り、国内物流・倉庫整備の遅れが輸出入双方に影響しているとされる。
外国直接投資(FDI)の純流入額は7月に6億8900万米ドル(約1085億3812万円)となり、前年同月の12億3000万米ドル(約1937億6181万円)から44.1%減少した一方、6月の4億4700万米ドル(約704億1588万円)からは54.1%増加した。投資委員会(BOI)が承認した1〜9月の投資額は9000億6000万ペソ(約2兆2270億円)で前年同期比53.05%増となり、年間目標の1兆ペソ(約2兆4743億円)の90%に達した。うち国内投資家分が8089億6000万ペソ(約2兆16億円)(89.88%)、外国投資家分が904億ペソ(約2236億7933万円)だった。WTO担当者は「非関税障壁だ」と課題を指摘し、「コスト削減とビジネス環境の魅力向上はどの国にも求められる課題だ」と述べた。また「得意分野に特化すべきで、フィリピンはサービス業に強みがあるが、それ以上の産業も持っている」と語った。駐WTOフィリピン大使のマヌエル・アントニオ・ティーハンキー氏は「島間輸送や鉄道などのインフラ整備が、国内物流・倉庫整備と輸出入の両面で極めて重要だ」と述べた。
背景
WTOは2026年版貿易政策審査でフィリピンを対象に審査を実施した。WTO関係者はフィリピンがすでに投資・関税分野で改革を進めていると評価しつつ、残る課題として非関税障壁と物流インフラの整備を挙げた。タルラク州ニュークラークシティ内の1600ヘクタールの用地には「Pax Silica」ハブが計画されており、ブラカン州もAI計算機材の集積拠点として検討されている。
日本企業への含意
日本企業にとって、フィリピンの貿易コストの高さや非関税障壁は、部品調達や製品輸出における物流コスト増につながる可能性がある。特に半導体や電子部品のサプライチェーンを同国に依存する製造業は、通関手続きや輸入ライセンス要件の簡素化動向を注視する必要がある。一方、BOI(税優遇などで外資を誘致するタイの政府機関)承認投資が目標の90%に達するなど投資環境の改善が進んでおり、タルラクやブラカンでの新拠点整備を見据えた進出検討の余地もある。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=86.93円 / 1000VND=6.11円 / 1THB=4.67円 / 1PHP=2.47円 / 1MYR=38.83円 / 1SGD=123.26円 / 1USD=157.53円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

