タイのホテル廃業42%増、客室過剰と観光客減が直撃
タイで2026年1~9月のホテル・宿泊業廃業が前年同期比42%増の148件となり、新規登録は31.2%減少したことが分かった。
タイ商務省事業開発局の集計によると、2026年1~9月にホテル・宿泊業の廃業届出は148件に上り、前年同期比42%増加した。一方、新規登録は779件にとどまり、同31.2%減少した。カシコン・リサーチ・センターが10月27日に公表したデータで明らかになった。背景には外国人観光客の伸び悩みと客室供給の過剰があり、中小事業者を中心に経営が圧迫されている。
カシコン・リサーチ・センターは2026年の訪タイ外国人数を3140万人、前年比4%減で2019年比79%水準と予測している。客室数は2026年半ばで87万6000室と、2019年比11.7%増加した。宿泊事業者は全国約1万5000社あり98%が中小で、従業員43万人を抱える。2025年決算では51%が赤字に転じ、2023~25年の3年連続赤字は38%(中小事業者では54%)に達した。人件費はコストの25~30%を占める。主要都市の稼働率は30~40%低下した。チェンマイ観光事業者協会のスパミット・キッチャピパット会長は、一部ホテルが恒久閉鎖する一方、閑散期に一時的に営業を停止して費用削減を図る施設も増えていると述べた。タイ・ホステル及び小規模宿泊協会のナリー・スネッタ会長は、観光シーズンが本格化するはずの10月下旬でも多くのホステルが客足が少ないままだと指摘。融資へのアクセス改善、経営困難な事業者への金融支援、宿泊業法改正の加速、外国人観光税の見直しを求めた。カシコン・リサーチ・センターは2027年の訪タイ外国人数を3100万~3300万人と予測している。
背景
タイの宿泊業は新型コロナ前を上回る客室数を抱える一方、外国人観光客数は本格回復していない。観光客が少人数グループでの旅行へ移行したことで客室稼働に影響した。賃金や電気代、交通費、予約プラットフォーム手数料など運営コストが上昇し、航空券価格の上昇でタイの割安感も薄れている。
日本企業への含意
日本の不動産・ホテル投資会社やOTA各社にとって、タイの客室過剰と稼働率低下は投資判断の見直しを迫る。中小宿泊事業者の経営悪化は資本提携や事業再編の機会になり得る一方、宿泊業法改正や外国人観光税見直しといった制度変更の行方によって現地事業のコスト構造が変わる可能性があり、動向の注視が必要になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.00円 / 1000VND=6.12円 / 1THB=4.68円 / 1PHP=2.47円 / 1MYR=38.61円 / 1SGD=123.23円 / 1USD=157.90円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

