フィリピン新産業拠点、投資最大700億ドルに学者懸念
フィリピン大学ディリマン校の研究者らが、米国主導の産業拠点「パクス・シリカ」構想の環境・経済影響に懸念を示すフォーラムを開催した。
フィリピン大学ディリマン校(UP Diliman)の研究者や科学者らは2026年10月19日、同校生物学研究所講堂でフォーラムを開き、米国主導の産業拠点構想「パクス・シリカ」が環境や経済に与える影響について疑問を呈した。パクス・シリカは半導体、AIインフラ、重要鉱物のサプライチェーンを支える目的で、フィリピン・タルラック州カパス市のニュークラークシティに1620ヘクタールの用地を想定する構想で、フィリピンは2026年4月に同構想への参加を表明していた。基地転換開発庁(BCDA)はこの拠点について投資額や雇用の見通しを示しているが、研究者らは具体的な事業計画や環境影響評価の情報不足を指摘した。
BCDAの見通しによると、投資額は400億〜700億ドル(約6兆2735億円〜約10兆9787億円)、雇用創出は13万人超、必要な電力は3ギガワット、1日あたりの水需要は6500万〜9000万リットルとされる。ただしこれらはあくまで予測値であり、確定した投資表明ではない。UP経済学部のシエロ・マグノ教授は、鉱物採掘だけでは自動的に開発につながらないと述べた。UP生物学研究所のジェレイン・ガン准教授は、環境影響評価を行うにはプロジェクトの詳細な情報開示が不可欠だと指摘した。UP総合開発研究センターのハーマン・ジョセフ・クラフト氏は、脆弱性を減らすことが課題だと述べ、UP物理学研究所のジョバンニ・タパン教授は、工場があるだけで工業化したとは言えないと述べた。
背景
フィリピンは2026年4月にパクス・シリカ構想への参加を決めた。同構想は半導体、AIインフラ、重要鉱物の供給網を支える目的で米国が主導するもので、タルラック州のニュークラークシティが候補地とされている。
日本企業への含意
半導体や重要鉱物のサプライチェーンに関わる日本企業にとって、フィリピンの新産業拠点は調達先や投資先の選択肢になり得るが、現時点では投資額や雇用、環境影響評価の枠組みが未確定であり、米比間の協定内容や規制整備の進展を見極める必要がある。進出や協業を検討する場合は、環境・水資源面の制約や地元の懸念を踏まえた計画立案が求められる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=86.82円 / 1000VND=6.08円 / 1THB=4.65円 / 1PHP=2.47円 / 1MYR=38.40円 / 1SGD=122.70円 / 1USD=156.84円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

