英国高裁、ベトジェット航空に2.5億ドル資産凍結命令
英国高等法院は2026年10月15日、ベトナムの格安航空会社ベトジェット航空に対し、約2億5000万ドル(約394億7576万円)の債務不履行を理由に資産凍結命令を出した。
英国高等法院は2026年10月15日、航空機リース会社FW Aviation(投資ファンドFitzWalter Capital傘下)の申し立てを受け、ベトナムの格安航空会社ベトジェット航空に対し資産凍結命令(フリージングオーダー)を出した。対象となる資産の価値は2億5160万ドル(約397億2841万円)、シンガポールドル換算で3億2300万シンガポールドル(約398億6670万円)に上る。ベトジェットは約2億5000万ドル(約3億9476万円、シンガポールドル換算で3億1990万シンガポールドル・約3億9484万円)の債務返済を継続的に拒否しており、同法院はこれを理由に命令を下した。紛争の発端は新型コロナウイルス流行下でFitzWalterがエアバス機4機を差し押さえた一件にさかのぼる。
債務額は2025年の初期判決時点の1億8000万ドル(約284億2255万円)から、利息と訴訟費用の上乗せで増加した。ベトジェットは現在エアバスとボーイング合わせて112機を運航し、300機以上の新型機を発注済みである。同社はリース発注書の価値をケイマン諸島のAngelica Holdingへ移し、その事実を1年間開示しなかった。プシュピンダー・サニ判事は判決で、運航への支障は「支払い能力の欠如ではなく、ベトジェット自身の意図的な支払い拒否と執行妨害の努力によって生じたものだ」と述べた。凍結対象は保有・リース中の機材、未受領の発注機、客室設備、ロールス・ロイス製エンジンの発注品、納期前払い金、整備準備金、ベトナム国外のリース預金や代理店経由のチケット収入に及ぶ。通常業務の資産取引は継続できるが、国外保有の発注機・整備準備金・リース預金の扱いには裁判所の許可が必要となる。
背景
紛争は新型コロナ流行下でFitzWalterがエアバス機4機を支配下に置いたことに端を発する。ベトジェットはリース料の支払いを停止しながら約1年間これらの機体を運航し続けた。その後複数の判決が下されたが、ベトジェットは支払いを拒み続けている。2026年9月には別の英国判事がベトナム国外資産への受信人任命を命じたが、最終命令はまだ発行されていない。ベトナムの法制度は英国裁判所の判決を承認していない。
日本企業への含意
日本の航空機リース会社や金融機関がベトナムの航空会社と取引する際は、契約不履行時の国境を越えた執行可能性を改めて点検する必要がある。ベトナム国内法制度が英国など海外判決を承認しない点は、同国企業向け与信・リース契約のリスク評価に影響し、資産保全条項や管轄裁判所の選定がより重要になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.68円 / 1000VND=6.10円 / 1THB=4.73円 / 1PHP=2.51円 / 1MYR=38.71円 / 1SGD=123.43円 / 1USD=157.90円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

