シンガポール、低賃金層に6~8%昇給勧告 月給2800Sドル以下対象
シンガポール国家賃金審議会は2026年10月19日、月給2800シンガポールドル(約35万円)以下の低賃金労働者に対し、2026年12月から2027年11月の期間に6~8%の賃上げを勧告した。
シンガポール国家賃金審議会(NWC、政労使代表で構成し毎年の賃金・雇用ガイドラインを策定する組織)は10月19日、雇用省(MOM)で2026年12月1日から2027年11月30日までを対象とした賃金・雇用ガイドラインを発表した。月給2800シンガポールドル(約35万円)以下の低賃金労働者について、業績の良い企業は135~170シンガポールドル(約2万円)の昇給を、業績不振でも黒字の企業は6~8%の下限か120シンガポールドル(約1万円)のいずれか高い方を、赤字企業も最低120シンガポールドル(約1万円)の昇給を行うよう勧告した。ガイドラインは官民双方の全従業員に適用されるが強制力はなく、政府が是認する形をとる。
前年度のガイドラインは5.5~7.5%の昇給幅だったが、実際に基準通り実施した企業は約25%にとどまり、約60%は昇給はしたものの勧告水準には届かなかった。シンガポール雇用主連盟(SNEF)のクア・ブンウィー会長は『達成率を引き上げられるカテゴリーを用意した』と述べ、特に飲食業など業績が厳しい業種への配慮を強調した。NWCのシエ・フーファ会長はAIについて『生産性向上や新たな価値創出、競争力強化の大きな機会をもたらす』と述べた。雇用省の調査では、企業の体系的研修実施率は2024年の66.4%から2025年は64%に、研修を受けた従業員の割合も52.6%から48.1%に低下した。
背景
NWCは例年8月から10月にかけて協議を行い、政労使代表の合意を経てガイドラインを策定する。前年は多くの企業が勧告通りの5.5~7.5%の昇給実施を困難とした経緯があり、今回は達成率向上を狙って企業の業績区分ごとに異なる基準を設けた。シンガポールの居住労働力のうち約20%が月給2800シンガポールドル(約35万円)以下で働いているとされる。
日本企業への含意
シンガポールに現地法人や拠点を持つ日本企業は、低賃金層の人件費上昇への対応が必要になる。業績に応じた段階的な昇給基準が示されたため、自社の業績区分に応じた賃金改定計画の見直しが求められる。また体系的研修の実施率低下が指摘されており、AI人材育成を含む従業員教育体制の強化も、現地採用維持や労使関係の観点から検討課題となる可能性がある。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.68円 / 1000VND=6.10円 / 1THB=4.73円 / 1PHP=2.51円 / 1MYR=38.71円 / 1SGD=123.43円 / 1USD=157.90円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

