コクヨ、ベトナム文具大手買収へ子会社に28億円増資
コクヨは2025年9月30日、ベトナム文具大手Thien Long買収のため設立したシンガポール子会社Synergy Investing ASIAへ28億円(約4400億ドン相当)を増資する計画を発表した。
日本の文具・オフィス家具大手コクヨは、ベトナムの文具製造・販売大手CTCP Tập đoàn Thiên Long(Thiên Long)の買収を進めている。買収実行主体として全額出資子会社Synergy Investing ASIA Pte. Ltd.をシンガポールに設立し、同社に28億円(約4400億ドン相当)を増資する計画を発表した。増資はベトナム当局の承認を得た後に実施される見込みで、増資後もコクヨはSynergy Investing ASIAの100%株主を維持する。この増資により、同社は日本の企業開示規制上の「特定子会社」の基準を満たすことになる。
Synergy Investing ASIAは2025年12月15日に設立された会社で、設立時の登録資本は1シンガポールドル、2025年12月末時点の総資産・純資産もそれぞれ1シンガポールドルにとどまる。買収構造としては、Thiên Longの46.8%を保有する大株主Thiên Long An Thịnhからの株式取得に加え、最大18.19%を対象とする株式公開買付け(TOB)を実施し、関連取引完了後にThiên Long株式の65%を保有することを目標としている。Synergy Investing ASIAの取締役にはコクヨの社員3名が就く。コクヨの2025年の連結売上高は359.8億円、営業利益は26.2億円だった。コクヨは「Thiên Longは東南アジア有数の文具製造・販売企業であり、同社をグループの事業基盤に取り込むことで、海外市場における筆記用具事業の基盤を強化する」との見解を示した。
背景
Thiên Longの取締役会は2025年12月4日、同社株式の46.8%を保有する大株主Thiên Long An Thịnhが、保有株式全てをコクヨへ譲渡する交渉を行っていると株主に通知したことを発表した。これが今回のコクヨによるシンガポール子会社への増資計画の前提となっている。
日本企業への含意
日本企業がベトナム企業を買収する際、現地規制対応や株式取得手続きの柔軟性を確保するためにシンガポールに持株会社を設ける手法が有効になる可能性がある。文具・オフィス用品業界では、東南アジア市場での地位確立を目指す日本企業にとって、現地有力ブランドの取得による販路・ブランド力の獲得が選択肢になる。TOBを組み合わせた段階的な株式取得手法は、他業種の対ベトナムM&Aでも参考になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.93円 / 1000VND=6.07円 / 1THB=4.68円 / 1PHP=2.51円 / 1MYR=38.51円 / 1SGD=123.09円 / 1USD=157.31円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

