タイ家計債務、GDP比85.2%で18年ぶり高水準に
タイの家計債務残高が6月末時点でGDP比85.2%に達し、過去18年間で最も高い水準になったとロイター通信が報じた。
ロイター通信は、タイの家計債務残高が6月末時点でGDP比85.2%に達し、過去18年間で最も高い水準になったと報じた。タイ中央銀行(タイの中央銀行)は家計債務を「経済の構造的問題」として強い懸念を示した。背景には個人向け後払い決済(BNPL)の急拡大があり、利用口座数は2021年の62万件から630万件に、信用供与額は68億バーツ(約321億円)から407億バーツ(約1923億円)に膨らんだ。ノンタブリ県で小規模事業を営むカビタ・ウォンヤカセムさん(51)は7つの金融機関から計1000万バーツ(約4726万円)の債務を抱え、うち210万バーツ(約992万円)はノンフォーマルな借り入れだという。タイ財務省は外国直接投資の誘致を通じ、3年以内にGDP成長率を3%まで引き上げる計画を示した。
カビタさんは「ビジネスの損失は月4万~5万バーツ(約19万~24万円)に上り、借金返済のため奔走している」と窮状を語った。タイ中央銀行金融政策局のドン・ナクロンタウィープ次長は「家計債務問題を解決できなければ、潜在成長率2.7%への回復は極めて難しい」と述べた。タイの借り手は全国で2700万人に上り、うち追加融資を受けられる健全な借り手は500万人にとどまる。IMFは2月の報告書で、高水準の家計債務が家計の可処分所得を圧迫し、人的資本投資の原資を制約することで経済構造改革の妨げになると指摘した。一般に家計債務がGDP比80%を超えると悪影響が強まるとされ、比率を80%未満に引き下げるにはGDP成長率5%が必要とされる。エクニティ財務相は「所得向上を通じて家計債務問題の解決を確実にする」と述べた。
背景
IMFと世銀は、記事作成時点の翌週にバンコクで年次総会を開催予定で、両者は3月の共同声明で、タイの経済転換を35年間にわたる長期開発の教訓として総会で紹介する計画を示していた。タイの経済成長率は長期的に周辺国に比べ低迷しており、イランやウクライナを巡る戦争に伴う世界的なインフレ圧力も重なっている。タイの家計債務は3年前の800万バーツ(約3781万円)水準から拡大を続けてきた。
日本企業への含意
タイで消費者金融や決済サービスを展開する日本企業にとって、BNPL急拡大は与信管理強化の必要性を示す。また家計債務の高止まりは個人消費の回復を鈍らせる可能性があり、タイ向け耐久財・自動車メーカーは販売計画の見直しが必要になる可能性がある。政府がFDI誘致でGDP成長3%を目指す方針は、製造業の進出機会拡大につながる可能性がある。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.87円 / 1000VND=6.11円 / 1THB=4.73円 / 1PHP=2.51円 / 1MYR=38.71円 / 1SGD=123.44円 / 1USD=158.00円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

