インドネシア運輸省、運賃上下限を全交通機関に拡大検討
インドネシア運輸省はドゥディ運輸相の下、航空のみに適用する運賃上下限制度を全交通機関に広げる方針を示し、経営陣の適性審査導入も検討している。
インドネシア運輸省のドゥディ・プルワガンディ運輸相は2026年10月2日、西ジャワ州バンドンで、現在は航空分野に限定している運賃の下限・上限(TBB・TBA)規制を全ての公共交通機関に拡大する方針を示した。運輸省は交通政策庁に対し、他の交通機関への適用による影響を検討するよう指示した。あわせて、銀行業界で導入されている適性審査制度を参考に、交通事業者の経営陣(取締役・監査役)を対象とした適性・能力審査の仕組みを導入する計画も明らかにした。審査は安全面を重視する内容になるとしている。
現行の運賃上下限規制は、2019年制定の運輸相令第20号と2009年制定の航空法(法律第1号)に基づき航空分野にのみ適用されている。経営陣の適性審査は、インドネシア金融庁(OJK)が2016年に定めた銀行取締役向けの適性・能力審査に関する規則(OJK規則第27号)を参考にする。国家運輸安全委員会(KNKT)の集計では、2003年から2025年までの海運事故は累計250件に上り、内訳は船舶火災が33%、沈没が30%、衝突が18%、座礁が10%を占める。事故件数が最も多かったのは2018年の41件だった。ドゥディ運輸相は「事業者間の競争が交通の安全を犠牲にしてはならない」との考えを示し、「できるだけ早く審査制度を策定し適用したい」と述べた。
背景
運賃の上下限規制は現在、航空分野のみを対象とした運輸相令第20号(2019年)と航空法(2009年法律第1号)に基づいて運用されている。ドゥディ運輸相は、新たに規制対象とする交通機関として海運業を念頭に置いているとみられる。背景には、国家運輸安全委員会(KNKT)が集計した海運事故が2003年から2025年の間に250件発生し、ほぼ毎年事故が起きているという実態がある。
日本企業への含意
日本の海運・物流企業やインドネシアで交通事業を手がける企業は、運賃規制や経営陣の適性審査が海運分野にも拡大される可能性を踏まえ、現地子会社や提携先の運賃設定・安全体制の見直しが必要になる可能性がある。制度設計の詳細が固まっていないため、交通政策庁の検討状況を注視しつつ、安全基準や経営体制の対応準備を進めることが求められる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=88.30円 / 1000VND=6.08円 / 1THB=4.70円 / 1PHP=2.52円 / 1MYR=38.63円 / 1SGD=123.37円 / 1USD=157.80円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

