シンガポール、ラオスから500MW再エネ電力輸入で3社合意
シンガポールの電力輸入企業タスパワーが、ラオス国営送電会社とラオス政府指定の開発企業と、最大500MWの再エネ電力を輸入する長期協力の検討で合意した。
2026年10月30日、マリーナベイ・サンズでの署名式で、タスパワー、エレクトリシテ・デュ・ラオス(ラオス国営送電会社)、ポンスプタビー・グループ(ラオス政府が指定した再エネ開発企業)の3社が、ラオスからシンガポールへ最大500MWの再エネ電力(水力発電由来)を輸入する長期エネルギー協力の検討で合意した。500MWはシンガポールの現在の発電容量12GWの約4%に相当する。協力期間は5年から15年を想定し、承認が得られ次第3年かけて供給量を段階的に増やす計画で、契約初年度は100MW、2年目は300MWとする。3社は2027年までに買い手の確保、当局の承認取得、必要な証明書の取得を目指す。
既存の「ラオス・タイ・マレーシア・シンガポール電力統合プロジェクト」(2022年開始、輸入上限200MW)と比べ、今回の500MWはその2倍の規模となる。同プロジェクトは第1段階で最大100MWをシンガポールに供給済み。シンガポールは低炭素電力の輸入について13件のプロジェクトに条件付き承認を与えており、合計輸入容量は9.25GWに達する。タスパワーのマイケル・ウォン最高執行責任者は、ポンスプタビー・グループとエレクトリシテ・デュ・ラオスとの提携により、水力発電と環境価値証書を組み合わせた即時の再エネ電力供給を顧客に提供できると述べた。想定顧客にはデータセンターや半導体企業など電力の脱炭素化を目指す企業が含まれる。
背景
シンガポールはエネルギー安全保障強化のため、多様な電源構成の一環として電力輸入を進めてきた。3社の提携は2023年から協議が続いていた。既存プロジェクトは2024年のライセンス更新時にタイ・マレーシア経由の送電を巡る各国間の意見対立で遅延したが、2026年1月に解消された。今回の協力案は、ASEAN全体を結ぶ「ASEANパワーグリッド」構想の先行事例と位置付けられている。
日本企業への含意
シンガポールでデータセンターや半導体工場を運営する日本企業にとって、再エネ電力の調達選択肢が広がる可能性がある。電力・インフラ関連の日本企業には、送電設備や証書発行など周辺事業への参画機会が生まれ得る。ただし承認や証明書取得は2027年までの見通しで、実際の供給開始時期や価格条件は未確定であり、調達計画への組み込みは今後の進捗を見極める必要がある。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=86.86円 / 1000VND=6.11円 / 1THB=4.68円 / 1PHP=2.47円 / 1MYR=38.73円 / 1SGD=123.18円 / 1USD=157.90円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

