シンガポール、電力網投資53億Sドルに11倍増 5年計画発表
シンガポール政府は10月26日、2025~2031年の電力網や発電設備を拡充する5カ年エネルギー計画を発表し、電力網投資を53億シンガポールドル(約6503億8655万円)に引き上げると明らかにした。
シンガポールのエネルギー市場監督局(EMA)とタン・シーレン貿易産業相(エネルギー担当)は10月26日、同国国際エネルギー週間2026で5カ年のエネルギーインフラ計画を発表した。発電、天然ガス、電力網拡張、太陽光発電、蓄電、低炭素電力輸入を網羅する。2026年8月時点のピーク需要8.6ギガワットは、半導体製造やデータセンター、電気自動車の普及を背景に2031年までに9.9~13ギガワットへ増える見通し。これに対応するため2026~2031年に天然ガス火力発電所を5カ所新設し、現在12ギガワットの発電容量を26%拡大する。ジュロン港では2030年までに第2LNGターミナルを稼働させ、LNG再ガス化能力を現行の年1000万トンから1500万トンに引き上げる。
電力網への投資は2025~2029年に53億シンガポールドル(約6503億8655万円)(約6503億8655万円、米ドル換算で)と、直近5年間の11倍に拡大する。送電変電所は従来5年間の4カ所から7カ所に増設し、送電ケーブル網は現行の7700キロメートルから2030年までに9100キロメートルへ延伸する。蓄電容量は現行の350メガワット時から2030年までに1ギガワット時に拡大。太陽光発電は達成済みの2.3ギガワットピークから、2030年目標3ギガワットピークを据え置きつつ、2035年目標を新たに4ギガワットピークへ引き上げる。ただし2050年時点の電力需要に占める太陽光の比率は最大10%にとどまる見込み。タン氏は資源ナショナリズムの広がりについて「既存の契約関係を損なえば、事業リスクが高まり投資を阻害し、長期的に悪影響を及ぼす」と懸念を示した一方、インドネシアがガス供給を削減したことには「シンガポール国民と企業は、エネルギー安全保障が常に最優先事項であると確信してよい」と述べ、冷静な対応を呼びかけた。
背景
発表前週末の10月25日前後、インドネシアがシンガポールへの天然ガス供給を削減したが、その量は同国の1日あたりガス需要の2%未満にとどまった。シンガポールは電力需要の95%を天然ガスに依存しており、既存の太陽光発電目標である2030年までに3ギガワットピークの達成は順調に進んでいる。直近5年間に新設された送電変電所はわずか4カ所にとどまっていた。
日本企業への含意
電力需要の急拡大とインフラ投資11倍増は、送変電設備や蓄電池、LNG関連設備を手がける日本の重電・プラントメーカーにとって受注機会の拡大につながる可能性がある。一方、タン氏が指摘した資源ナショナリズムへの懸念は、LNGなど長期契約でシンガポールに供給する日本企業にとっても、契約安定性を見極める材料になる。半導体・データセンター需要がピーク電力を押し上げている点は、現地に生産・データ拠点を持つ日本企業の電力調達計画にも影響する。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=86.83円 / 1000VND=6.07円 / 1THB=4.65円 / 1PHP=2.46円 / 1MYR=38.39円 / 1SGD=122.71円 / 1USD=156.86円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

