マレーシアBYD、Inokomに委託生産 年産8万台の工場活用
BYDはマレーシアでSime Darby傘下のInokom Corpにケダ州クリム工場でのEV組み立てを委託するCKD方式の覚書に署名した。
中国の自動車大手BYDは、マレーシアのSime Darby Bhdが54%出資する子会社Inokom Corp Sdn Bhdに対し、ケダ州クリムの工場でBYD製EVを完全ノックダウン(CKD)方式で組み立てる業務を委託することで合意し、覚書を締結した。署名は中国・深圳のBYD本社で行われたとみられる。Sime Darbyは2022年からマレーシアでBYD車の正規販売代理店を務めており、今回の提携はその関係を生産面にも広げる形となる。Inokomはヒュンダイやマツダ車を手がけるBermaz Autoも株主に名を連ねる多国籍メーカー向け受託工場で、既存設備を活用することでBYDは新工場建設を回避できる。
InokomはケダのクリムPアント拠点で年間最大8万台の生産能力を持ち、稼働率は80%にとどまっている。BYDは当初、ペラ州タンジュンマリムに年産5万台規模の新工場を建設する計画を2025年8月に発表していたが、同計画は再検討に入っていた。投資貿易産業省(Miti)は同工場で生産する車両の80%を輸出に回し、残る20%を国内市場向けとする一方、国内向け車両は1台あたり最低20万リンギ(約774万円)の価格を課す条件を付けていた。マレーシアでは現地組み立てEVに対する税免除措置が2027年まで適用される。BYDはマレーシアで現在7車種を展開し、累計販売台数は3万5000台、2026年上半期だけで7500台を販売した。調査会社CGS Internationalは、Inokomとの受託生産契約について、生産量の詳細はなお不透明としつつ、Sime Darbyにとって前向きな転換だとの見方を示した。
背景
BYDは2025年8月にペラ州タンジュンマリムへの新工場建設計画を公表し、年産5万台規模を見込んでいた。しかし2026年3月にはこの計画を見直しているとの報道が出ていた。背景には、投資貿易産業省(フィリピンの通商・産業政策を所管)が同工場の生産台数の80%を輸出向けとし、残り20%の国内向け車両に最低価格を設定するという条件を課していたことがある。Sime Darbyは2022年からBYD車のマレーシア正規販売代理店を務めてきた。
日本企業への含意
Inokomは日系のヒュンダイ系・マツダ系生産とBYDの受託生産を同一工場で担うことになり、日本メーカー系列の生産枠や優先度に影響が及ぶ可能性がある。マレーシアでの現地組み立てEVへの税優遇が2027年まで続く中、BYDが新工場建設を回避し既存の多国籍受託体制を活用した点は、日本の自動車・部品メーカーにとって現地調達・生産委託戦略を見直す材料になる。
本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=88.08円 / 1000VND=6.11円 / 1THB=4.71円 / 1PHP=2.51円 / 1MYR=38.71円 / 1SGD=123.23円 / 1USD=158.08円)によります。
出典
本記事は上記1社の報道にもとづきます。

