10月23日(金) 現地報道と公的統計から、日本のビジネスパーソンに有益な情報をピックアップしています
東南アジアのビジネスニュースを日本語で

タイ中銀、詐欺被害327億バーツ 26年IMF会合で国際指針提案

タイ中央銀行(タイの中央銀行)は2026年のIMF・世界銀行年次総会で、デジタル金融詐欺対策の国際枠組み案を各国に提案する方針を示した。

タイ中央銀行は、2026年10月にタイで開催されるIMF・世界銀行年次総会において、安全で包摂的なデジタル金融(SIDF)をテーマに各国と協議し、共同で推進する枠組み案を提案する方針を示した。同行は「バンコク・ブループリント」と呼ぶ指針を策定中で、各国がデジタル金融詐欺などの脅威に対応する際の参考にできる内容を目指す。背景には、タイ国内で普及するリアルタイム送金システム「PromptPay」の利用拡大と、それに伴う詐欺被害の増加がある。PromptPayの登録者数は8330万人に達し、月間平均取引件数は25億1000万件、取引総額は4京3900兆バーツに上る。一方でタイの詐欺被害額は2024年に434億5500万バーツ(約2033億7722万円)に達した。

2025年の詐欺被害額は327億1000万バーツ(約1530億8868万円)、2026年上半期は91億3500万バーツ(約427億5344万円)で、前年同期比42%減少した。銀行が全国で凍結した詐欺利用口座(ミュール口座)は347万口座に上り、検知から凍結までの時間は従来の3日から現在は10時間に短縮された。2025年施行の技術犯罪防止・抑止法(改正法)は施行から3カ月で60億バーツ(約280億8108万円)相当の被害を未然に防いだとされる。記事では「詐欺師はシステムではなく感情を狙う。衝撃・欲・愛情・恐怖を通じて仕掛けてくる」との見方が示された。

背景

タイではPromptPayを中心にデジタル金融が急速に普及した一方、年齢や学歴を問わず被害が広がる金融詐欺が深刻な社会問題となってきた。世界的にも詐欺被害は年間1兆米ドル(約157兆3069億円)規模とされ、国際的な連携の必要性が指摘されている。タイでは関係当局の協調的な取り組みにより、直近では被害の減少という具体的な成果が出始めており、2026年の国際会議をこうした知見を発信する機会と位置付けている。

日本企業への含意

日本の金融機関や決済事業者にとって、タイが主導するデジタル金融詐欺対策の国際指針は、東南アジアで事業展開する際の規制・実務基準を先取りする材料になる可能性がある。特に口座凍結の迅速化やミュール口座対策、責任ある融資基準などの実例は、日本国内のフィンテック企業や銀行が自社の不正対策・AI活用を見直す参考になる。国際会合での議論動向を注視し、対応を検討する必要がある。

PRVRIAcademy 東南アジアの現地スタッフに、日本トップ企業の研修を。英語・オンラインライブ、次回2027年1月12日開講

本記事の円換算は当日のレート(10000IDR=87.50円 / 1000VND=6.07円 / 1THB=4.68円 / 1PHP=2.52円 / 1MYR=38.50円 / 1SGD=123.11円 / 1USD=157.31円)によります。

出典

本記事は上記1社の報道にもとづきます。

メールで受け取る

1週間の東南アジアのビジネスニュースを、月曜の朝に1通にまとめて送ります。